国は埋め立て申請前から知っていた 358件が高さ制限接触 辺野古新基地


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沖縄防衛局が作成した、辺野古新基地建設の予定地周辺で米軍の高さ制限に抵触する物件の一覧表

 米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古移設に関し、沖縄防衛局が2011年に発注した調査で、辺野古新基地が完成した場合、航空機の安全のために米軍が定める高さ制限に抵触・近接する物件が358件に上るという結果を得ていたことが18日までに分かった。調査結果は沖縄平和市民連絡会メンバーで土木技師の北上田毅氏が防衛局から情報開示請求で入手した。

 米軍の安全基準は、滑走路を起点として半径2286メートルの範囲で高さ45.72メートルより上空を制限している。辺野古新基地の場合、滑走路が標高8・8メートルのため、標高54.52メートルより高い建物があってはいけないことになる。

 防衛局が「シュワブ(H23)現況調査資料作成業務」でつくった資料では、新基地建設予定地の周辺で高さ制限を超える家屋や鉄塔、電柱などを取り上げ、滑走路からの位置やどれほど高さ制限を超えるかなどを一覧表で記していた。制限を超える地点にある家屋は112件で、最も高いものが約37メートル超過していた。鉄塔は13件で最大約48メートル超過、電柱・標識などは233件で最大約40メートル超過が確認された。

 辺野古区の嘉陽宗克区長は「防衛局から説明があった。(航空機は)基本は海の上を飛ぶのでほとんど問題ないとのことだった。適切に対応していると聞いている」と述べた。辺野古商工会の許田正儀会長は「高さ制限の件は新聞で初めて知った。防衛局のやり方は常に後出しだ」と話した。

 新基地建設を巡る高さ制限の問題について、県は建設場所としての適性に問題があるとして埋め立て承認を撤回する理由の一つとした。防衛局が13年に県へ埋め立て承認を申請した際、すでにこの問題を把握しながら県へ伝えていなかったことは今後、想定される承認撤回を巡る裁判に影響を与えそうだ。