「お願い、桟橋を使うのをやめて」 琉球セメントに頭を下げて要請 島ぐるみ会議名護


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琉球セメント本社前で、辺野古埋め立て土砂の搬出に同社の桟橋を使用させないよう求める市民ら=19日午前、浦添市西洲

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する島ぐるみ会議名護は19日、埋め立て土砂の積み込みや搬出に安和桟橋を使用しないよう求める要請行動を、浦添市の琉球セメント本社前で実施した。同会議代表の稲嶺進前名護市長をはじめ市民200人が結集し、1時間半にわたり同社幹部に要請書を直接手渡すことを求めたが、職員は「対応できない」と応じなかった。集会の最後には市民らが一斉に新基地建設への加担をやめるよう、職員に頭を下げる場面もあった。

 この日、市民らは午前10時半ごろから現場に集まったが、琉球セメントの本社ビル入り口前にはすでに規制線が張られ、約10人の職員が待機していた。市民はメッセージボードや太鼓を手に「違法な営利行為を今すぐやめろ」「国の言いなりにならないで」と訴えた。

 稲嶺前市長は要請に応じないことに「どうか沖縄の一流企業にふさわしい賢明な判断を」と理解を求めた。応援に駆け付けた沖縄平和運動センターの山城博治議長が「幹部と直接面談し民意を伝えるまで行動を続けるぞ」と呼び掛けると、市民からは歓声と拍手が湧き起こった。

◆県民いがみ合い悲しい/平良さん「お願い」を呼び掛け

要請行動に参加した思いを語る平良亜紗美さん=19日、浦添市

 名護市で生まれ育った自営業の平良亜紗美さん(32)は要請行動の最後、全員で琉球セメントに頭を下げて桟橋の使用をやめるようお願いしようと参加者に呼び掛けた。県民同士による対立ではなく、対話を通して基地のない平和な沖縄を希求したいとの思いからだ。

 「地元の海、沖縄の宝を守りたい」と、今回、要請行動に名護から参加した。行動への参加は、14日の土砂投入翌日に開かれた座り込み行動に続いて2回目。これまで積極的に参加してこなかったが、9月の県知事選で同世代の若者が奮闘している姿や、ホームステイしたハワイの県系人が故郷への強い思いを持っていることに胸を打たれ、自身も行動を起こさなければと奮い立たされ、足を運んだ。

 特にハワイでは、故郷を離れた県系人やその祖先たちが、片時も忘れることなく沖縄の平和を願い続けていることを知った。「沖縄の平和は県民だけの願いではない。県民同士がいがみ合う姿を見て、世界に点在するウチナーンチュも一緒に悲しんでいる」。平良さんは対話を通して新基地建設の阻止を今後も訴えていく。