「当事者」民意示せず 宜野湾市民「投票したい」  宜野湾・県民投票不参加


この記事を書いた人 大森 茂夫
市として県民投票事務を実施しないことについて「苦渋の決断」と語る松川正則宜野湾市長=25日午後、宜野湾市役所

 【宜野湾】宜野湾市の松川正則市長が県民投票を実施しない方針を示したことに、市民からは「辺野古移設反対は必ずしも普天間飛行場の固定化ではないはずだ」と、投票結果が普天間の固定化につながるとの市長の理由に反発する声や「県民の一人として投票したかった」と落胆の声が上がった。一方、9月に市民によって選出されたばかりの市議会議員と市長の判断に「市民の意思になるだろう」と一定程度、支持する意見もあった。

 市内の公園を歩いていた新里実宏さん(77)=市宜野湾=は「もっと市民の声を聞いた上で判断すべきだった」と語り、市当局が十分に耳を傾けていないと不満をあらわにした。新里さんは「議論を深める前に(投票の)権利を奪われたことに疑問が残る。投票に行きたかった」と市長の対応を疑問視し、肩を落とした。

 オスプレイが自宅上空を通過するという60代男性=市野嵩=は「辺野古移設反対は必ずしも普天間飛行場の固定化ではないはずだ。県民投票の話の中で理論がすり替えられていると感じる」とし、県民投票は普天間の移設先に対する賛否であり、移設そのものの賛否ではないと強調する。男性は「基地は普天間に限らず県内からなくなった方がいい。政治に無関心な人が増えているから今の事態になっているのかもしれない」と声を落とした。

 市役所を訪れていた会社員の赤嶺直都さん(31)=市嘉数=は「選挙で選ばれた代表の判断は、市民の意思でもある」と支持した。「普天間に残るか、辺野古に移るかの動きしか見えない。普天間飛行場の早期返還の実現に向け建設的な話し合いで解決してほしい」と訴えた。