前島訓練 ヘリポート限定 航空自衛隊「永久承諾」 拡大解釈し全域使用


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11月21日に渡嘉敷村の前島で実施された、「永久承諾」に基づく訓練の様子。空自ヘリが前島北側の陸地に着陸し、隊員3人が降りた後、上昇したヘリから物資を降下させた=11月21日午後、渡嘉敷村の前島(又吉康秀撮影)

 【渡嘉敷】沖縄県渡嘉敷村の前島で航空自衛隊那覇基地が「永久承諾」とする取り決めがあるとして集落以外の島全域で訓練を実施していた件で、空自那覇基地と当時の村長との間で2000年に締結した承諾書が見つかり、ヘリポート以外の場所での訓練を定めていないことが分かった。26日、同基地が承諾書と内容の一部を発表した。

 村が「認めたことはない」とする陸地部分での訓練について、空自那覇基地は「ヘリポート以外の場所においても訓練を行う承諾を得たものと誤解して、前島での訓練を実施していた」として、承諾書を拡大解釈していたことも明らかになった。

 今回見つかった空自那覇基地と村との承諾書は「ヘリポートの使用」に関する承諾書で、訓練での取り決めが記されている。ただ、ヘリポートの詳細な位置については記載されておらず、空自那覇基地が説明する「集落を除く」とする訓練区域についても、集落の明確な場所を示す地図などもないという。

 使用期間についても「当該ヘリポート管理者が、ヘリポートを利用する災害派遣を不必要と認めるまでの間」となっており、訓練の内容も「災害派遣訓練」としている。承諾書には前島のほか、隣接する中島、ハテ島の無人島2島も盛り込まれていた。

 空自那覇基地によると、承諾書は00年当時の渡嘉敷村長と那覇ヘリコプター隊隊長、救難隊隊長の3者で締結され、ヘリコプター空輸隊が保管していた。

 一方、渡嘉敷村は空自那覇基地が主張する年に1回の村への電話連絡について「誰も連絡を受けたという人はいない」と再度、否定した。

 承諾書締結当時に村長だった小嶺安雄氏も「全く記憶にない」と改めて否定した。