防衛局受注 過半が県外 「基地経済」改めて議論を


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<解説>

 沖縄防衛局が過去5年間で発注した公共工事の大半を沖縄県外企業が受注していたことで、基地の負担や被害は沖縄に集中する一方、基地建設に伴う利益は県外にも多く流出している実態が改めて明らかになった。沖縄防衛局は分離分割発注や共同企業体方式の導入で地元優先発注を進めてきたと強調するが、「本土還流型」の構図は維持されたままだ。

 金額の大きい米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する公共工事も一部が県外企業に流れた。沖縄大・沖縄国際大特別研究員の宮田裕氏によると、基地建設で投じられた膨大な予算が沖縄の外に流出する構図は戦後の1950年代から確認されている。結果として本土ゼネコンを成長させることになったと宮田氏は指摘する。現在も辺野古新基地建設を巡り、戦後沖縄が置かれてきた構図が繰り返されている実情が露呈した。

 基地受け入れによる経済効果を期待する見方も県内で根強いが、観光産業を中心とした好調な経済を背景に基地依存経済から脱却する機運は高まっている。県も基地が経済発展の阻害要因だと指摘してきた。実際に過去5年は約53%が県外に還流したという事実を踏まえ検証した上で、基地問題と沖縄経済について議論を深める必要がある。
 (明真南斗)