〈解説〉石垣市長 県民投票不参加表明 反対ありき「自作自演」


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 県民投票実施に一貫して否定的だった中山義隆石垣市長は11日、県の勧告に対する宜野湾市長の判断などを見定めた上で不参加を表明した。今後、石垣市に対する県の勧告なども想定されるが、他市の判断が覆らない限り、中山市長が実施に傾く可能性は低いとみられる。

 市長は市議会での県民投票経費に係る補正予算案の採決前、賛成方針を示していた与党市議を長時間にわたって自ら説得に当たって退席に翻意させ、反対多数の流れを決定付ける動きを見せた経緯があるからだ。

 一方で、不参加の理由の一つに「本市の最高議決機関の市議会での議決は大変重要な決定と認識している」などとして市議会の議決の重さを挙げた。県民投票に反対ありきの「自作自演」の理由付けとの印象は拭えず、首長と議会の二元代表制の在り方にも影を落とした。

 今後、不参加を表明した他自治体と同様、石垣市でも県民投票を求める声が強まることが予想される。一方、市議会では市平得大俣への陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例の審議を控える。住民投票実施に賛成する市民の中には、県民投票不参加への強い反発が、住民投票の審議に何らかの影響を与えるのではないかとの懸念もくすぶる。 県民投票と住民投票が絡み合う中、投票権を奪われる市民が今回の市長の判断にどう向き合うか注目される。 (大嶺雅俊)