県民投票 自民国会議員が反対“指南” 市民憤り「地方自治が崩壊」 政府の関与疑う声も


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 名護市辺野古の新基地建設の是非を問う県民投票を巡り、保守系議員の勉強会で県民投票に反対する根拠になった可能性がある資料が配布されていた。県民投票の事務費が含まれる予算案が再議でも否決され、県民投票が実施できない可能性が高い沖縄、宜野湾、うるま、石垣、宮古島の5市の市民からは「(議員らが)口裏合わせをしていたのではないか」「政府の関与はないのか」と憤りや疑念が上がっている。

 「県民投票の判断を前に何らかの口裏合わせをしたと疑われても仕方ない」。県民投票事務を実施しないことは平等権の侵害だとして、沖縄市に行政不服審査を申し立てた照屋正史さん(62)は保守系議員らの対応を批判した。「自分ができることをやる」とさまざまな手法で投票を実現することを誓った。

 県民投票を求める石垣市民の会のメンバー、藤井幸子さん(71)は「反対する理由が共通していたので、やっぱりかと感じる」と話す。「勉強会の全容が分からないが、県民投票に反対する対策として受け止められるし、それを国会議員がしていたのなら、反対の動きに中央の関与はないのかという疑念も生じる」と語った。

 年明けごろから保守系議員の勉強会が開催された話を聞いていたという県民投票うるま市連絡会の宮城英和事務局長は「何かしらの文書が出回っていたのは想定内だ」と語った。「このような対応は地方自治や民主主義の崩壊につながりうる。許してはいけない」と語気を強めた。

 宮古島市での投票実現を目指す市民有志でつくる「県民投票実現!みゃーくの会」の國仲昌二事務局長(58)は「『実施しない』という結果ありきではないか。市民の権利をないがしろにしているとしか言いようがない」と憤った。

 宜野湾市の市民有志でつくる「県民投票じのーんちゅの会」で共同代表を務める比嘉栄光さん(76)は「今回の県民投票は法律で定められた手続きを取ったものだ。法律を守るべき議員が入れ知恵をしたり誘導したりして、表現の自由を否定することは許しがたい」と強く反発した。