石垣の陸自駐屯地3月着工 国が通知、県アセス回避へ  住民反発避けられず


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
陸上自衛隊配備が計画される石垣市平得大俣の駐屯地建設予定地とその周辺=2018年2月

 沖縄県石垣市の陸上自衛隊の部隊配備計画を巡り、防衛省沖縄防衛局は3月1日に駐屯地建設工事に着手することが16日、分かった。防衛局が県赤土等流出防止条例に基づき、県に通知した。通知したのは約46ヘクタールの平得大俣地区のうちの約0・5ヘクタール。本年度中に一部でも着工すれば、県環境影響評価(アセスメント)条例の適用対象とならないため、工事の遅れを回避するために先に一部を着工するとみられる。計画を巡っては、賛否を問う住民投票条例を求める署名が必要数以上集まっており、住民投票を求める動きが活発化している。

 県は2018年に県環境影響評価条例を改正、施行し、20ヘクタール以上の土地で土地造成を伴う事業がアセスの対象となった。経過措置として、年度内の工事は対象から除外される。アセスには最短でも3年程度かかるとされ、国は年度内の着手を急いだ格好だ。

 県によると、防衛局は1月4日に県八重山保健所に文書で通知した。工事は8月31日まで。赤土等流出防止条例では、県が審査し不備があった場合は国に対して協議を求められる。だが、県に許認可権はなく、工事を止めることはできない。条例では工事開始の45日前までの通知が義務付けられている。

 大浜浩志県環境部長は通知を受け「厳正に審査したい」と述べた。

 陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票実施には昨年12月までに市内の有権者の約4割に当たる1万4263筆が集まった。

 運動を展開した市住民投票を求める会は、工事着手前に計画の是非を問うため2月中の投票を希望しているが、市議会の審議は始まっていない。 (清水柚里)