辺野古設計変更 遅れ、工費増は不可避 軟弱地盤 沖縄県、何度も指摘


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<解説>

 沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、政府が埋め立て予定海域の地盤改良に向けた変更申請の手続きに入る見通しとなった。これまで県や識者から幾度となく指摘されてきた軟弱地盤への対応を迫られていることが明らかになり、埋め立ての賛否を問う2月の県民投票での有権者の判断材料にもなりそうだ。

 防衛省は大浦湾側の海域の埋め立てから先に着手する計画だった。だがボーリング地質調査で地盤のもろい地点が複数見つかった。埋め立ての前段となる護岸建設に着手できないことから昨年12月、既に地質調査や護岸整備を終えた辺野古側の海域から先に埋め立て土砂投入を開始した。

 当初計画では埋め立て期間が5年、その後、施設整備3年を経て完成となるスケジュールが見込まれていたが、軟弱地盤の存在が発覚したこともあり、工期の遅れや改良工事による工費増大は避けられない状況だ。岩屋毅防衛相は昨年末のインタビューで「今の段階で工期や総予算を申し上げることはできない」と述べている。

 現行計画で普天間飛行場の返還期日は「2022年度以降」とされているが、これまでの工事の遅れから22年度中の返還は困難な状況になっている。軟弱地盤への対応でさらに遅れが生じるのは必至だ。

 22年夏から秋にかけては、玉城デニー知事の任期満了に伴う知事選も予定される。知事権限を必要とする局面は地盤改良の計画変更以外にもあることから、政府と県の対立は政治日程も絡みながら進むことになる。
 (當山幸都)