沖縄返還密約、やむを得ず 安倍首相、日米の交渉で見解


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
安倍晋三首相

 安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会で、北方領土問題に関連して沖縄返還時の日米間の密約について問われ「あの時ああいう約束をしていなかったら沖縄が返還できたかと言えば、そうではないんだろう」と述べた。沖縄返還交渉時に日米間で交わされた有事の核持ち込みや、原状回復費の日本の肩代わりなどに関する密約について、やむを得なかったとの認識を示した。

 下地幹郎氏(維新)の質問に答えた。首相はその上で「その時その時で非常に苦しい、重い決断をしなければこうした問題は前に進んでいかないんだろう」と付け加えた。下地氏は北方領土問題を含むロシアとの平和条約締結交渉を取り上げ、沖縄返還時の密約に触れつつ「どこかで妥協していると必ず理解が得られる時がある」と強調した。

 1952年の日本の主権回復後、奄美群島や小笠原諸島、沖縄が約20年かけて段階的に返還されたことに触れ、70年以上続く北方領土問題について「一歩も前に進まないことを、これまで以上に続けていいのかということを考えていくべきだ」と求めた。

 沖縄返還時の密約を巡っては、安倍首相が2014年1月の衆院予算委員会で、民主党政権時の外相として密約問題を調査した岡田克也氏への答弁で「ずっと国民に示さずに来たのは間違いだった」と明言した。