〈私の視座 2・24県民投票〉4 元名護市長・比嘉鉄也氏 移設問題に決着を 結果受けた交渉に注目


社会
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比嘉鉄也元名護市長

 ―県民投票が実施される。

 「辺野古は普天間の代替飛行場だ。県民投票では『普天飛行場はどうするか』という点が議論されていない」

 「県民投票で普天間の問題も辺野古の問題も決着がついて、今後選挙の争点にならなくなる。20年以上苦しんだ問題を終わりにして教育や福祉などに集中できる」

 ―1996年に辺野古への普天間飛行場移設計画が浮上した当時、名護市長だった。

 「(移設先とされた)嘉手納など各地で反対の声が上がり、辺野古へ回ってきた。市議会から反対決議が上がり、私も反対した」

 ―97年12月には名護市民投票もあった。移設反対が多数となったが、移設を受け入れて辞任した。

 「市民投票を(政府・自民党筋から)『棚上げにしてくれ』と言われた。行政の責任者として『住民投票をやらないと市民の意思は分からない』と思って実施した。やってよかったと思っている」

 「市民投票後、首相官邸へ行き、橋本龍太郎首相らに『熟慮して(基地移設を)受け入れる。閣議決定で振興策を実施してほしい』と伝えた。市民を二つに割ってしまったと思って辞任した」

 ―渡具知武豊現市長は辺野古新基地建設への態度を明言していない。

 「国と県が(裁判で)争っている。普天間の危険除去をしつつ、跡地利用を進めることを平行でやるべきだ」

 ―それは「リンク論」ではないか。

 「全国の市町村が受け取らないものを名護が受け取った。それへの手当ては当然あるべきだ」

 ―県民投票で宜野湾市など5市が予算執行に同意せず、全県実施が危ぶまれた経緯もあった。

 「各市の判断には言及しない。それぞれの判断があって全県実施となった。2択では実施できなかったと思う。『どちらでもない』という選択肢をどう解釈するかが問題だ」

 ―自身は県民投票に行くか。

 「どの選択肢に入れるか分からないが行く。私は自民党として行動してきた」

 ―今回の県民投票で注目する点や期待は。

 「玉城デニー知事が結果を受けて、県民をどのように納得させるか。日米両政府と交渉し、どういう結論が出るかに注目している」

 「県民投票を契機に全国的に議論が広がると思う。その中で引き取りを表明するところがでてくるといい。宜野湾が訴えても、それを表明したところはなかった」
 (聞き手・塚崎昇平)

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 ひが・てつや 1927年7月31日、名護市東江生まれ。43年から46年まで日本海軍に所属。琉球郵政庁事務官補などを経て、54年に名護市役所に入庁。64年から名護町議会議員を2期、70年から名護市議会議員を5期務めた。86年に名護市長に初当選。3期目途中の97年12月に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設受け入れを表明し、辞任した。