遺骨発掘 5月にも開始 沖縄戦動員朝鮮人 埋葬地・本部で追悼式


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本部町に眠ったままの朝鮮人の遺骨の発掘を前に開かれた追悼式=16日午前11時半ごろ、本部町健堅

 【本部】戦時中、本部町で亡くなった朝鮮半島出身者の遺骨発掘に向けた追悼式が16日、埋葬地の同町健堅であった。74年前に遺体を発見した中村英雄さん(89)、韓国の故金大中(キムデジュン)元大統領の三男で「民族和解協力汎国民協議会(民和協)」代表常任議長の金弘杰(キムホンゴル)氏らが参加し、遺骨が遺族の元に帰ることを願った。

 朝鮮人強制連行真相調査団や沖縄恨之碑の会のほか、朝鮮大学校や県外大学に通う大学生など約50人が参加した。民和協は今年5月にも本部町で遺骨の発掘を始めるとしており、地権者や関係者と具体的なスケジュールを進めていく。

 金氏は「日本の各地に眠っている遺骨を発掘し、朝鮮半島の非武装地帯に遺骨を納めたい。時間はかかろうとも必ず成し遂げたい」とあいさつした。その上で「南と北が手を取り合って遺骨発掘調査を行う。東アジアの全ての人たちが明るい未来を築いていくため頑張ろう」と呼び掛けた。

 1945年1月、本部町沿岸で日本軍の輸送船「彦山丸」が米軍の空襲を受け、乗っていた朝鮮人2人を含む14人の陸軍軍属らが亡くなった。同町健堅の中村さんの自宅向かいに埋葬された。中村さんは「遺体を並べて木材で焼いた。遺骨を埋めた場所は人の土地だからこれまで言わなかった。個人で掃除するなどしてきたが、今まで誰も目を向けようとしなかった」と語った。沖縄戦に動員された朝鮮人は戦後も生死の確認がなされず、ほとんどの遺骨が祖国に戻っていない。

 金氏は、昨年4月の南北首脳会談を受け、韓国政府の許可を得て7月に訪朝。戦前や戦中に日本に動員されて亡くなった朝鮮人労働者の遺骨を日本から朝鮮半島に送還する運動を北朝鮮や日本の団体と共同で進めていくと発表した。