<県民投票・私の1票>石垣市 反対/賛成


社会
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 米軍普天間飛行場の返還合意から23年。無条件返還や県外・国外移設を期待する声が根強い中、日米両政府は県内に代替施設を建設することに合意し、辺野古の埋め立て工事が進められている。辺野古移設の賛否を巡り、安全や安定、自然保護や経済振興など、さまざまな論点で県民の思いは交錯している。2月24日に投票が実施される辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票を前に、有権者に1票にかける思いを聞いた。

〔反対〕基地集中は人権侵害 農業・嶺井善さん(53)

沖縄にこれ以上の「抑止力」を求めるのは人権侵害だと訴える嶺井善さん

 普天間飛行場の代わりとなる辺野古への基地建設ができないと、尖閣などへの「抑止力」が損なわれるとの意見がある。周辺国との軍事バランスもある中で抑止力を全く否定するつもりはないが、逆に基地ができることで他国から狙われる可能性も高まることと表裏一体ではないか。事態がエスカレートする原因にもならないか心配になる。それに基地建設は地域社会や自然環境へのリスクもある。

 普天間飛行場のほかにも、沖縄には嘉手納基地など多くの基地がすでに集中している。石垣島にも、抑止力を理由に陸上自衛隊の基地が建設されようとしている。

 抑止力と言わないと造れないと考えているのではないかと思ってしまうが、まだ抑止力が足りないと言うのならば、本土に持っていってほしい。これ以上の沖縄への基地の集中は人権侵害だ。

〔賛成〕周辺国へ 抑止力必要 会社役員・我喜屋隆さん(69)

日米同盟の機能維持のためにも辺野古移設は仕方ないと訴える我喜屋隆さん

 この国は日米安保条約で守られてきたと考えている。尖閣への対応も、現在、海上保安庁が前面に出て頑張っているが、その後ろ盾には自衛隊や米軍の存在が必要だろう。

 普天間飛行場の辺野古移設は日本と米国との、国と国との約束事だ。辺野古移設をしないことはその約束を破ることになり、日米同盟の機能が弱まることにつながるのではないか。そうなれば、尖閣を例にすれば石垣島から中国公船が見えるぐらい圧力が強まるのではとの懸念がある。

 基地がないに越したことはない。だが、迫り来る周辺諸国の姿を見た時に、普天間飛行場の危険性除去を図れる、最適な場所だと専門家が考えた辺野古への移設は仕方がないと思う。

 周辺国と諸問題について話し合いに臨む上でも、その「抑止力」を示せることで、対等な立場で解決に向けた交渉ができると思う。