行こう 立場超え 実は「面白い」基地問題 投票して参加しよう


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「基地は沖縄の問題ではなく日本の問題」と語る小波津正光さん=20日、那覇市安里のFECオフィス

 辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票は24日、実施される。沖縄の未来を決める歴史的な日を前に、県民投票を成功に導こうと、投票を呼び掛ける活動が23日、各地で活発に展開された。期日前投票ではこの日までに23万人余が1票を投じ、意思表示を済ませた。日米両政府が米軍普天間飛行場返還に合意して23年。早期返還と県内移設の問題で揺れ続けてきた県民一人一人がさまざま思いを抱えながら、投開票の日を迎える。

 24日投開票の県民投票について、基地問題をネタにしたお笑いの舞台「お笑い米軍基地」を企画する小波津正光さん(44)は本紙取材に「投票結果によって政府よりも、いかに日本全体の人に興味を持ってもらうかだ」と意義を指摘する。政府が県民投票結果に関係なく名護市辺野古の新基地建設を進める考えを示したことを踏まえ、「それを分かった上でも『県民は投票に行く』と言った方が熱が伝わると思う。うしぇーんけーどー=なめるなよ、との意思を示す」と強調した。

 基地問題を巡り、沖縄と県外の温度差や沖縄の中での矛盾・葛藤も含めて舞台のネタにして笑いに転換してきた。今回の県民投票で「圧倒的な投票率や圧倒的な反対が出た上で、政府は微動だにせず基地建設を進めてほしい」と逆説的に指摘する。理由を「その方が、日本政府がやってきたことや基地問題の悲しさ、悲しくも面白いところが浮き彫りになる可能性がある」と持論を語る。

 県民投票を巡る県民の関心度について「高くはなっている」と感じる。ただ、大学生らと話す機会に感じたことがある。「若く純粋な人が賛成でも反対でも、経験値も浅かったりするため、いろんな情報に振り回されることがある。ツイッターやLINE(ライン)で得た1人、2人の情報が全てだと思う人もいる。情報を追うのに必死で自分で考えていない場合がある」と危惧する。

 小波津さん自身は「時事ネタを扱うので、もちろんいろんな情報を集めるが、自分の中に入れて咀嚼(そしゃく)し吐き出す時間が必要」と言う。大量の情報をうのみにせず、自ら考えを深める必要性を強く感じている。「県民投票について一生懸命に考える人は投票へ行くと思う」と指摘する一方、県民投票に関心が低い人へ「興味はないが、この記事を目にした方に伝えたい。基地問題は、実は見方を変えると面白い。県民投票に参加することでその面白い問題に参加する権利を得たと思い、投票してほしい」と促した。(古堅一樹)