北部訓練場跡からPCB 世界遺産推薦地 ドラム缶発見地点で


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 2016年12月に部分返還された米軍北部訓練場の跡地から国際的に使用が規制されるポリ塩化ビフェニール(PCB)が検出されたことが8日までに分かった。名桜大学の田代豊教授(環境科学)が返還後にドラム缶が見つかった国頭村安田の地点の土壌を調べた。現場は国有林で世界自然遺産に推薦された地域。沖縄防衛局は沖縄森林管理署への土地引き渡しを前に、汚染調査と廃棄物除去を実施したが、汚染が残ったままであることが改めて浮き彫りになった。

 調査では溶媒を使い、土壌1キロ当たり0・03ミリグラムを検出した。環境基準で定めた検出方法ではないため、環境基準値と単純に比較することはできない。ただ、PCBは自然に分解しにくい性質で、生物への影響が懸念される。

 今回PCBが検出された地点は、昆虫研究家の宮城秋乃さんが土地返還後にドラム缶を見つけた場所で、17年5月に田代教授が国内で使用が規制されるDDTを検出していた。

 PCB検出を受け、田代教授は「ドラム缶がPCB汚染物であった可能性が高い」と指摘した。跡地では汚染物質の検出が続いており「防衛局の調査で把握できなかった有害物質の投棄があったことを示している。他の未調査地点でも汚染が現存する可能性がある」と訴え、詳しい調査と汚染除去を求めた。

 沖縄防衛局は、地権者への引き渡し前に跡地利用特措法に基づき4カ月間かけて廃棄物や土壌の汚染調査を実施した。だが、調査は返還地約4千ヘクタールのうち5ヘクタールと一部に限られていた。

 沖縄防衛局は取材に対し「事実関係を承知せず、見解や対応を答えることは困難だ」と回答した。

 (清水柚里)