北部訓練場 原状回復 防衛局が協定 引き渡し時 林野庁と


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 米軍北部訓練場の返還地を巡り、沖縄防衛局と林野庁沖縄森林管理署が2017年12月の引き渡し時に、米軍由来の汚染除去は防衛局が担うと取り決めた協定を締結していたことが8日、分かった。防衛局によると、米軍基地の返還後も防衛局が原状回復の義務を負うとする同様の取り決めは他にない。北部訓練場跡地は希少生物が生息するため、基地内に残る鉄板の撤去や植生の回復、米軍の弾薬へ対処するとした。

 識者からは「防衛局が短期間で実施した支障除去調査の不備が続発している中、弾薬調査などは含まれいない。協定だけでは対処が限定的に終わる」との指摘が上がる。

 防衛局と森林管理署は返還地内のヘリコプター着陸帯跡地で鉄板が残されていることを確認しており、協定では鉄板近くの植生について調査し、鉄板は適切な時期に撤去すると決めていた。不発弾や未使用弾などが発見された場合は、森林管理署長が引き渡し前から存在していたと認めたものに限り、防衛局が撤去や原状回復をするとした。

 防衛局は原状回復の協定を結んでいることについて「希少な動植物が生息する森林内で、鉄板など撤去に慎重な検討が必要だった」と説明した。森林管理署は「(返還前の)使用承認に基づき、防衛局に原状回復の義務があるが、それを補強する位置付けで協定を結んだ」とした。

 返還地を含めた地域を世界自然遺産に推薦した環境省那覇自然環境事務所は「協定について把握していないが、防衛局から米軍の汚染について処理すると連絡を受けている」としている。

 (清水柚里)