【糸満】沖縄県糸満市伊原のひめゆり平和祈念資料館で16日、2018年度のひめゆりガイド講習会が開かれた。県内バスガイドや平和ガイド、通訳案内士ら58人が参加し、同館学芸員らの案内で館内やひめゆりの塔周辺を回った。その後、元学徒の仲里正子さん(91)との質疑応答や意見交換もあった。参加者からは「事実をしっかり伝えていこうと勇気づけられた」などの感想が上がった。
同講習会は沖縄戦やひめゆり学徒隊についての理解を深め、ガイド活動に役立ててもらおうと、08年から毎年開かれている。
6月23日で開館30周年を迎える資料館は元学徒たちによって設立された。普天間朝佳館長は「元学徒たちは、生き残ってしまったことをずっと申し訳ないと思って生きてきた。友達のことが忘れられてしまわないようにとの思いで資料館が建てられた」と、元学徒たちの思いを強調した。
仲里さんは、皇民化教育を受けていた沖縄戦当時の自身の経験を振り返り「昔は情報が入らなかった。今は情報がたくさんあり、皆さんは考える力もある。戦争にならないためにはどうすればいいか考えてほしい」と訴えた。
那覇バスの事務員・久田美奈子さん(49)は元バスガイドで、現役のガイド21人と共に参加した。久田さんは「元学徒や学芸員らが、命を大切にする心や戦争を否定する心を持って、30年間ぶれずに資料館をつくり上げてきたことが心に刺さった」と述べた。その上で「沖縄のガイドとして、しっかりと事実を事実として伝えようと勇気づけられた」と話した。