汚染流出の初報、米軍側通知は半数 残りは報道や問い合わせで発覚 不十分な通報体制浮き彫りに


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 【嘉手納】2010~14年に米軍嘉手納基地で発生した汚水や燃料の流出事故で日本政府が把握する13件のうち、初報が米側の通報によるものは7件で、約半数が報道機関や自治体、沖縄防衛局など地元からの問い合わせで発覚していたことが24日分かった。米軍が定めた事件・事故に関する通報基準では、周辺地域の環境汚染が懸念される流出が発生した場合、速やかに外務省と現地防衛局へ連絡する必要がある。しかし、日本、米国、沖縄間の通報経路に統一性がなく、十分に機能していない実態が改めて浮き彫りとなった。

 環境調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表が、赤嶺政賢衆院議員(共産党)の協力で得た防衛省保管の事故記録や情報開示請求で入手した資料を基に分析した。

 事件・事故の発生時、対処し地元自治体に情報を提供するのは防衛局だが、米側による初報7件のうち、直接防衛局へ連絡があったのは3件にとどまる。残りは外務省から県企業局を経由し防衛局に詳細が伝わっていたほか、事故の3日後に外務省を通し防衛局が把握した事例もあった。

 事故を把握した防衛局が情報を提供する地元自治体の範囲や連絡手法にもばらつきがあった。

 米軍の運用や基地内で発生した事件・事故は詳細が地元に通報されず不透明な点も多いことから、県や周辺自治体は正確な情報を即時に伝達するよう米軍と政府に再三求めている。

 河村代表は正確な情報伝達が県民の安全や健康、環境を守ることに直結するとし、「防衛局や県、地元自治体は隠蔽(いんぺい)体質の米軍の言い分をうのみにせず、正確な情報とその根拠を得るまで追求する必要がある」と指摘した。また、外務省と防衛局、地元自治体の3者間における通報経路の精査も喫緊の課題だと強調した。