宮古島に陸上自衛隊を配備する狙いと懸念 中国の軍事的脅威に対応 緊張高める可能性も


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工事が進む陸上自衛隊宮古島分屯地、手前の建物は隊庁舎や宿舎=2019年1月9日、宮古島市上野野原(©まぶいぐみ提供)

 防衛省が南西諸島で陸上自衛隊の配備を進める念頭には、東シナ海などで海洋進出の動きを強める中国の軍事的脅威がある。新編される陸自部隊は有事の際の初動対応や、島しょ奪還を任務とする水陸機動団(長崎県)など本土からの増援部隊の受け入れを担うという。ただ、防衛力の増強はかえってこの地域の緊張度を高める可能性をはらむことにもなる。

 防衛省の計画では奄美大島、宮古島、石垣島にそれぞれ警備隊と地対艦・地対空ミサイル部隊が配置される。

 陸自によると、26日に配置される宮古島の警備隊は島内の航空自衛隊のレーダーなど重要施設の警備訓練や、有事に本土からの増援部隊がスムーズに展開できるよう港湾や空港などを守る訓練などを実施する。

 陸自ヘリの離着陸は宮古空港のほか、緊急時などには駐屯地内のグラウンドを使うという。米軍との共同訓練に関する計画は現段階ではない。2020年以降には射程200キロの地対艦ミサイルや、敵のミサイルなどを迎撃する地対空ミサイルが配備される。

 南西諸島で計画された部隊配備後も機能強化の動きは続きそうだ。防衛省は現在、超音速・長射程の島しょ防衛用地対地ミサイル「高速滑空弾」の研究開発を進める。奪還された島に近接する島から攻撃することも可能になるとされる。新たな「防衛計画の大綱」では運用部隊の創設が掲げられ、沖縄配備も予想される。