戦争の記憶 次代へ 3世代平和学習 30人、南部戦跡巡る


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 沖縄市平和ガイドネットワークは24日、沖縄戦の記憶を継承することを目的に「3世代間交流平和学習」を開いた。小学生から高齢者まで幅広い年齢層で約30人が参加し、半日をかけて南部の戦跡を巡った。参加者は「なかなか来ることができないが、忘れてはいけない歴史。次の世代にもつなげていきたい」と思いを強くした。

戦跡巡りのガイドを務める沖縄市平和ガイドネットワークの安仁屋真孝さんの話に熱心に耳を傾ける参加者ら=24日、糸満市の師範健児之塔

 同ネットワークは、戦争の記憶のある世代の減少に危機感を持ち、沖縄市を中心に各地で研修や学習会を実施している。この日は沖縄市の嘉間良地区の住民を限定に実施した。

 ガイドを代表の安仁屋真孝さんが務め、魂魄(こんぱく)之塔や師範健児之塔、韓国之塔などを回った。師範健児之塔では、鉄血勤皇隊の生き残りとして沖縄戦研究に尽力した故大田昌秀さんのことも紹介し「男子学生の生き残りはとても少なくて、語る人も少ないので分からないこともいまだあるが、大田さんが残した記録は本当に大切な資料だ」と話した。

 師範健児之塔に父親の名が刻まれている喜屋武和子さん(81)は「戦争体験者も少なくなり、各地にある慰霊塔を管理する人たちも減っているだろう。私たちが意識して残していかないといけない」と語り、慰霊塔に花を供えた。一緒に参加した孫の相川季花さん(9)は「戦争って危ない感じがする。二度と起こってほしくない」と話した。

 初めて戦跡巡りをしたという幸地保さん(74)は「戦争をあらためて恐ろしく感じた。私たちは語り継いでいかないといけないと強く思う」と語った。