<政策点検・衆院沖縄3区補選>憲法・安全保障 自衛隊配備に賛否鮮明


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 安倍晋三首相は憲法9条への自衛隊の明記などを含めた憲法改正に意欲を示しており、夏の参院選では憲法が大きな争点となることが想定される。憲法改正を巡って、屋良朝博氏(56)=無所属・新=と島尻安伊子氏(54)=自民公認、公明、維新推薦・新=の両者とも「現在の憲法を基軸に条文の追加や見直し」で一致したが、9条の評価は意見が分かれた。

 屋良氏は、第2次世界大戦の教訓を基軸に、日本国憲法の平和理念は人類の進むべき指針とする。理想論との批判は当たらないとし「堅持こそが戦後日本のアイデンティティーとして、アジアの同胞へ融和を重んじる証だ」と強調した。

 島尻氏は「憲法改正が自民党立党以来の党是」として、国民の合意の上での改正を念頭に置きながら、国会での実質的な議論と国民の機運づくりが必要との見方だ。9条については「自衛隊の存在を明記することを目指す」としている。

 沖縄に基地が集中する根本的な原因ともなっている日米安全保障条約の評価を巡っても意見が割れた。

 屋良氏は、軍事同盟は共通の敵の存在により成立するとの考えから「仮想敵が曖昧な中、日米の軍事同盟は漂流している」とし、日本の国際的な立場を再定義すべきとの見解を示した。

 島尻氏は、日本が独力で国を守れない現状において、日米安全保障体制の維持は必要とする立場だ。一方で「日米地位協定の改定と沖縄の基地負担軽減も進める必要がある」とする。

 一方、政府が進める石垣市や宮古島市への自衛隊配備に対する両者の見解も異なる。屋良氏は合理性がないとして「反対」の立場。宮古島駐屯地へのミサイル部隊配備に「抑止が外れた場合、敵にとって標的にしかならない」と批判した。「賛成」の立場の島尻氏は、先島周辺地域で海洋進出を強める中国の動きに触れ「漁業などへの影響を鑑み、自衛隊配備は必要だ」との見方だ。