沖縄県内ホテル過当競争 中間、低価格帯に集中 オンリーワンマーケティング分析


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 マーケティングコンサルティングに携わるオンリーワンマーケティング(那覇市、伊敷豊代表)は、インターネット予約サイトのトリップアドバイザーで公開される宿泊価格などを基に、沖縄県内のリゾートホテルの現状を分析する分布図を作成した。集客タイプを限定せず、中間から低価格帯の区分にホテル分布が一極集中しており、過当競争となっている実態があると分析した。

 分析は、2018年8月時点のトリップアドバイザーで公開される宿泊料に満足度などを加味してホテルごとの評価値を算出。客単価が高い大人向けか、宿泊人数が多い家族向けかというホテルの集客対象をタイプ分けして分布図を作成した。

 その結果、調査対象のリゾートホテル102件のうち44%の45件が、評価値が1万~6万円の価格帯に集中し、タイプ別では大人旅と家族旅行の両方を兼ねた中間層に属していた。

 伊敷代表は「県内では新規のホテル建設が盛況だが、確固たるブランド戦略を持たず類似のリゾートホテルが林立しているのが分かる。過当競争により収益が上がらない構造になっている」と分析を示す。

 一方で、調査対象の県内ホテルでも1泊当たり20万円の評価値があるなど、消費意欲の高い海外観光客が増加する中で高価格帯の宿泊需要は高いという。

 伊敷代表は「客単価が高い大人旅に対応した方向に既存ホテルをシフトアップさせることができれば、過当競争を緩和させ収益の改善が図れる」と指摘し、1泊当たりの利益が大きくなることで従業員の給与や福利厚生の待遇改善につながるとした。

 また、世界の超富裕層が宿泊できるラグジュアリーホテルを誘致することで、業界全体の評価額が底上げされるとも指摘する。

 伊敷代表は「富裕層の市場に気付く必要がある。ただホテルを建てるのではなく、将来の戦略を打ち出す必要がある」と話し、1人当たりの観光消費額が伸び悩む沖縄観光の質を高めるため、世界的有名ブランドの誘致や既存ホテルのシフトアップを政策的に誘導する行政の対応も求めた。