宮古警備隊が災害派遣 吉野海岸の漂着油物除去


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 【宮古島】3月26日に編成された陸上自衛隊宮古警備隊は19日、宮古島市城辺の吉野海岸に漂着した油物の除去作業を実施した。宮古警備隊発足後、初めての災害派遣となった。
 午前11時19分に県知事から災害派遣要請を受けた防衛省は、同31分に早速、陸上自衛隊宮古警備隊と航空自衛隊の南西航空方面隊司令部、第53警戒隊合わせて155人、25両を出発させ油物の除去を支援した。防衛省によると、油物の除去に自衛隊が携わる例は度々あるという。
 下地敏彦宮古島市長は宮古警備隊の派遣について「普段は主に県が作業をするが、今回は連休も近づいており、作業に多くの人手が必要だったことから要請した」と述べた。
 宮古島海上保安部によると、19日午後5時現在、海岸に漂着した油物は全て除去したという。

“地域への貢献”アピール

 陸上自衛隊宮古警備隊が初の災害派遣活動で、宮古島市城辺の吉野海岸などに漂着した油物の除去作業を実施した。宮古警備隊が配置されている市上野の宮古島駐屯地を巡っては、地元への十分な説明がないままに中距離多目的誘導弾(ミサイル)の弾薬を保管していた問題があり、今回の活動は地域貢献をアピールすることで“挽回”を狙う姿勢が透けて見える。
 災害派遣の要請について下地敏彦宮古島市長は、除去作業が県や市の人員だけでは足りず「人海戦術でやらないと連休に間に合わない」と説明し、満潮になって油物が沖合に流れ出てしまうと回収できなくなる恐れがあるとの懸念も示した。
 一方で、過去にあった同様のケースでは、県や市の職員、漁協、ダイビング業関係者らが除去作業に対応しており、今回のように自衛隊が災害派遣として出動することをいぶかる声もある。
 自衛隊配備計画への抗議を続けている「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の仲里成繁代表は「弾薬庫の問題についてもきちんとした説明がない中で、自衛隊を容認させるための地ならしなのではないか」と指摘。「陸自じゃないとできない作業なのかと疑問に感じた」と話した。