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肉厚ポークに卵焼き 一度食べたらやみつきに「ポーク卵おにぎり」は沖縄のお母さんの味 〈平成・沖縄生まれ「食」2〉


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「お母さんの味をみんなに食べてもらいたい」と語るポークたまごおにぎり本店社長の清川勝朗さん

 肉厚のポークと卵焼きをご飯で包む。食べ応え十分の「ポーク卵おにぎり」はコンビニ、街の総菜店はもちろん、県外に進出した専門店もあるほど「沖縄の食」として浸透してきた。ただ、いつ、どのようにして世間に広まったのかは諸説あるらしい…。

 ポークの正式名称はポークランチョンミート。米ホーメル社が米軍の携行食として製造したのが始まりだという。県内では同社の「SPAM」とデンマークのチューリップ社製品がシェア争いを続ける。

 「貧しい時代に、保存できて手軽にタンパク質が取れるポークは重宝された」。そう語るのはSPAMの輸入販売元「沖縄ホーメル」の上原永司販促企画課次長(47)。ポークは食卓の定番となった。

 ポーク卵おにぎりが登場したのはいつか。上原さんの記憶では、平成の始まりごろに街の売店などで見掛けるようになったという。

 さらに有力な証言が。同社総務部の田場純さん(71)がハワイ留学中の1960年代後半、出身の恩納村民会で振る舞われたのだという。田場さんは「ルーツが沖縄なのは間違いない」と推測する。

米軍が持ち込んだポークは今や家庭の常備食になった

 約20年前に大阪府堺市から移住してきた清川勝朗さん(49)も魅力に取りつかれた一人。「片手で食べられる『お母さんの味』を食べてもらいたい」と2014(平成26)年11月、専門店「ポークたまごおにぎり本店」を那覇市にオープンさせた。現在、県内3店舗、昨年12月には福岡市にフランチャイズ店が出店した。「まねする店が増えてきた」と苦笑いしながらも、「沖縄の食が広まるのはうれしいですね」と笑みを浮かべる。

チューリップ社のポークも県民から高い支持を集める

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 コンビニのコーヒーやチキン、さんぴん茶は今や県民だけではなく、県外でも広く消費される。沖縄のソウルフードの一つ、ポーク卵おにぎり、県民の胃袋を満たしてきたステーキも、近年は観光客を中心に高い人気を誇っている。沖縄で生まれ、県民に愛され、観光客にも受け入れられる―。そんな食品や飲料を紹介する。