記者が見た辺野古の新基地建設の現場、作業の進捗目視での確認には限界… ドローン規制で「知る権利」奪われる可能性も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、沖縄防衛局は、護岸造成や土砂投入など“外堀”を固める工事を進めている。ドローンによる撮影は、工事の進捗(しんちょく)状況を記録・発信する貴重な手段となっている。船に乗り海上から現場を取材した。

名護市辺野古の埋め立て区域に土砂を投入するトラックを小型無人機で撮影=3月26日

◆目視の限界

 「基地反対の民意に従え」「砕石投下をやめろ」。名護市辺野古沿岸部では4月、新基地建設に反対する市民が船上で拳を突き上げ、抗議を続けた。辺野古崎東側に位置するK8護岸上では、クレーンが砕石を海に投下し、石と石がぶつかる鈍い音が響く。

 沖縄防衛局が3月に土砂投入を開始した埋め立て区域付近に移動すると、目視で確認できるのは土砂投入を続けるダンプカーの車体のみ。どれほどの土砂が運ばれているかなど、護岸内側の様子を海上から確認することは困難だ。

◆改正案による影響

埋め立て区域に土砂を投入するトラック。護岸に阻まれ、内側は確認できない=3月28日

 ドローン規制法の改正案により、在日米軍への提供区域の水域や空域も飛行禁止の判断対象になる。

 空撮は、立ち入りが制限される米軍基地を取材する手段となっている。新基地建設現場の空撮が禁止されれば、県が主張している赤土流出や新基地工事の進捗把握などが困難となる。県民や国民の注目度が高い辺野古の現状にベールをかぶせる格好だ。許可ありきの基地監視では、監視が難しくなる。「見せたくないものを見せないこと」を正当化するような改正案により、報道の自由が狭められる危険性もある。国民の知る権利の手段が奪われることになりかねない。その現実が、着実に忍び寄っている。

 (吉田早希)