米軍関係者の犯罪、8割が不起訴 〝密約〟浮き彫り 日本平和委員会調べ


この記事を書いた人 大森 茂夫

 2018年に国内で発生した米軍関係者(米兵、軍属、家族)による一般刑法犯(刑法犯から自動車による過失致死傷などや業務上重過失致死傷を除く)の起訴率が14・5%だったことが27日までに、日本平和委員会の調べで分かった。起訴件数が9件だったのに対し、不起訴件数は53件だった。沖縄に限定した際の起訴率は18・8%だった。同委員会によると17年までの5年間の国内全起訴率は30%後半で推移しているといい、米軍関係者による犯罪起訴率の低さが浮き彫りになった。

 調べでは暴行5件、強制性交、詐欺、横領それぞれ1件は全て不起訴となっており、窃盗も28件のうち27件が不起訴だった。

 日本平和委員会は、法務省に開示請求した米軍関係者による犯罪の処理に関する検察の統計文書「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」に基づき、数字をまとめた。起訴率は、起訴数を起訴と不起訴を合わせた数で割って算出している。2001年から昨年分までこの文書を入手し、統計をまとめる作業を続けている。

 同委員会は、起訴率が低くなる背景として、1953年に日米間で結ばれた「特に重要と考えられる事件以外は(日本側が)裁判権を行使しない」とする「密約」の存在を指摘。「低い起訴率は、この『密約』を日本政府が現在も忠実に実行している証左だ」と分析している。