ドローンメーカー大手が基地飛行を制限 規制法施行前に「自主規制」と指摘も


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ドローンの安全飛行のため、飛行地域情報の更新を促すDJI社のドローン操縦アプリ=31日

 小型無人機(ドローン)メーカー最大手「DJI」(本社・中国)が同社製ドローンについて、2月から県内の米軍基地周辺を飛行制限エリアにしたことが分かった。同社への届け出がなければこのエリアで飛行できないようシステムを更新した。同社は「ユーザーの安全と公共空域の安全のため」と説明している。13日の改正ドローン規制法施行を前にした制限に、専門家は「メーカー側が国の規制を先行した格好で事実上の自主規制だ」と指摘している。

 飛行制限エリアを県内で新たに設けたのは普天間飛行場、嘉手納飛行場、伊江島補助飛行場の三カ所。衛星利用測位システム(GPS)などを利用し、機体が制限エリアに進入できないようにした。従来は国土交通省の許可を得れば、これらの施設周辺の飛行は可能だったが、2月28日から同社への届け出が必要になった。

 同社の日本法人「DJI JAPAN」(東京都)によると、2013年から運用している「ジオフェンス」と称するプログラムの更新に伴い実施。現在までに横田飛行場(東京都)など県外の米軍基地や自衛隊基地、原子力発電所などが制限対象に追加された。

 新たに飛行制限エリアとした基地の上空は改正ドローン法の規制対象。同社は「DJIの独自サービス」とし米軍や日本政府からの要請は否定している。早稲田大教育・総合科学学術院教授でジャーナリストの野中章弘さんは「法案に先行した形でメーカー側にその意図はないかもしれないが、結果的に日本政府と米軍への忖度(そんたく)になっている」と指摘している。 (安里洋輔)