PFOSに水質目標値 厚労省が検討、来春めど


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 【東京】北谷浄水場(沖縄県北谷町)の水源から発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFOS、PFOA、PFHxS)が高濃度で検出されている問題で、厚生労働省は12日、水質基準に関する目標値の設定を検討し、来年4月ごろまでに方向性を出す考えを県企業局に伝えた。厚労省が設置する有識者による「水質基準逐次改正検討会」で議論を進める。これまでPFOSなどは水道水質の基準値や目標値がなく、県が政府に対し設定を求めていた。

 PFOSなどは、国内の水質基準で必要な情報、知見の収集に努める段階の「要検討項目」に含まれ、法的な順守義務のある基準値はない。厚労省によると海外でも法的拘束力を持たせた基準値を採用している国はないが、米国やドイツでは健康上の目安となる指針値などを設けている。

 県内では本島中部を中心に地下水や河川から高濃度のPFOSなどが検出され、米軍基地や産業廃棄物処分場などの要因が指摘されている。

 県の玉城デニー知事や県企業局の金城武局長は12日、防衛省や環境省、厚労省を訪れ、水質に関する基準値設定や米軍基地内への立ち入り調査の実施などを要請した。玉城知事は記者団に「日本に基準がないので、安全であるかどうかという判断そのものの根拠がない。早急に各省庁で共有していただきたい」と述べた。

 金城武県企業局長は目標値の設定について「県民の不安の払拭(ふっしょく)につながる。数値が設定されれば基地内への立ち入りや補償なども求めやすくなる。状況改善に向けた第一歩になる」と意義を語った。