水環境 影響調査訴え 渡久山琉大名誉教授 石垣陸自配備批判


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渡久山章氏の基調報告を聴く参加者=8日、石垣市民会館大ホール

 【石垣】石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を巡り、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会は8日、市民会館大ホールで「石垣島の水が危ない! 生命の水、カンムリワシを守ろう!」市民集会を開いた。水環境に詳しい琉球大名誉教授の渡久山章氏が「水問題と陸自配備」をテーマに基調報告し、配備による水環境への影響を詳しく調査する必要性を訴えた。

 渡久山氏は自身も委員を務めた、宮古島への陸自配備に関する宮古島市地下水審議会学術部会で、地下水への影響について多くの懸念が示されたことを報告。

渡久山章氏

石垣市への配備を巡っても、施設外への排水などによって島の水環境に与える影響が明らかになっていないとして「将来に禍根を残さないためにも、市は学術部会を開いた方が良い」とした。

 軍事施設からの有害物質流出の可能性について「(防止する)ルールはあるが、ヒューマンエラーを防ぐのは難しい」と指摘。「水は何かが起こってからでは取り返しがつかない」と、配備による汚染への懸念に「予防原則」で対応する必要性を強調した。

 平得大俣への配備については、島の中心部に位置し、宮古島より標高が高いことから「下流への影響が大きい」との懸念を示した。「水は何千年、何万年後の世代も使うものだ。現市政や住民はただ保全して見守るべきだ」と述べた。

 市民集会には200人超の市民が参加した。アンパルの自然を守る会の島村賢正共同代表や市民連絡会の嶺井善共同代表からもカンムリワシに関する報告があった。