有機フッ素化合物汚染は基地由来か? 宜野湾市と南城市で大気調査へ


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有機フッ素化合物の調査結果を報告する京都大学の小泉昭夫名誉教授(左)と原田浩二准教授=16日、宜野湾市中央公民館

 【宜野湾・南城】京都大学医学研究科の小泉昭夫名誉教授(環境衛生学)と原田浩二准教授(同)が16日、沖縄県宜野湾市と南城市で実施したPFOSなど有機フッ素化合物調査の結果報告を両市内で実施した。血液調査などの結果、人体への影響は「安全基準」と強調しつつ、米軍基地由来の大気汚染の可能性もあるとして、今後両市内で大気を調査することを明らかにした。

 小泉名誉教授と原田准教授は4月、両市住民の血液や水道水、宜野湾市大山の田芋や土壌などを調査。コレステロール値を上げるなどの影響が指摘されるPFOSやPFOA、PFHxSが宜野湾市で高く検出され、米軍基地が汚染源の可能性があるとした。

 小泉名誉教授は、米国環境保護庁(EPA)による生涯健康勧告値(1リットル当たり70ナノグラム)を参考に、今回の血液調査の値でも「安全基準」と強調した。南城市でも値が全国より高いことから「大気によって(影響が)あるのではないか」と指摘した。梅雨明け以降、両市で1週間ほど調査するとし協力を呼び掛けた。

 また1981年に実施した沖縄市美里住民の採血調査で、化合物が今回調査より高濃度で検出されたとして「過去どれくらいの暴露があったか追っていく必要がある」と訴えた。国内基準値の設定など、国による協力の必要性も指摘した。

 田芋の調査結果を報告した原田准教授は「土壌から田芋への蓄積はほとんどなかった。田芋は安全と考える」と述べた。一方、農作物などの調査がこれまでなかったとして、さらなる調査の必要性も強調した。県衛生環境研究所の2014年調査で、南城市内の河川から高濃度の化合物PFBSが検出されていたことには「血中濃度調査で調べたが、1人も検出されなかった」と説明した。