15歳で家出、16歳で出産の女性が児童養護施設卒園者を支援続ける理由 米軍基地内のフリーマーケットの売り上げを寄付


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「不要品の提供を呼び掛けて活動を広げたい」と話すウィリアムズ・由衣さん(左から4人目)とデヴィンさん(同3人目)夫妻=5月27日、沖縄市の児童養護施設美さと児童園

 家庭の事情で15歳で家出をし、親元を離れて自立生活を送った経験を持つ女性が、沖縄県内の児童養護施設卒園後に進学する子どもたちの支援に取り組んでいる。ウィリアムズ・由衣さん(36)=宜野湾市=だ。家族で月2回、米軍キャンプ・フォスター内のフリーマーケットに参加し、売上金を琉球オフィスサービス(浦添市、藤本和之代表)の「児童養護施設卒園者支援」を通して寄付している。由衣さんは「子どもたちに道しるべを示す大人として関わりたい」との思いを胸に、今後も寄付活動を続ける予定だ。

 由衣さんは在沖米軍人の夫デヴィン・ウィリアムズさん(32)や娘たちとフリーマーケットに参加。基地内でベビーカーや衣類などの不要品を集めて洗浄し、販売している。4月からの3カ月で「児童養護施設卒園者支援」に計10万5375円を寄付した。

 由衣さんが子どもたちへの支援に関心を持ったのは、10代の頃の経験が施設の子どもたちと重なるからだという。15歳で家出し、16歳で結婚と出産を経験。賃貸住宅や携帯電話は親権者の同意を求められ契約ができず、アルバイトも年齢制限で働ける場所が少なかった。由衣さんは「いろいろな生き方を教えてくれる大人が身近にいたら良かったなと思う」と語った。

 家族がフリーマーケットを始めたのは3年前。昨年は約100万円を売り上げた。これまでは米国への渡航費などに充てていたが、基地内のボランティア団体に所属するデヴィンさんの寄付文化に影響を受け「誰かのためにお金を使いたい」と寄付を決めた。

 宮崎県出身の由衣さんが沖縄の子どもたちを支援するのは「沖縄を古里だと思っているからだ」という。「沖縄は人と人との距離が近く、居心地がいい。よくおじい、おばあが話し掛けてくれる。そこに愛情を感じるのかもしれない」

 5月27日、家族と共に支援先の一つである沖縄市の児童養護施設美さと児童園(前川英伸園長)を訪ねた由衣さん。「世の中にはさまざまな選択肢があり、それを選ぶ自由があることを子どもたちに伝えたい。道しるべを示す大人として関わりたい」。関係者を前に決意を新たにした。
 (関口琴乃)