沖縄・慰霊の日に11歳の少女が思う「本当の幸せ」とは 


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平和の詩を朗読する山内玲奈さん=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 「戦争の悲惨さを伝え継いでいくことは 今に生きる私たちの使命だ」。真っすぐに前を見つめ、ゆっくりと確かな口調で自作の詩「本当の幸せ」を朗読する糸満市立兼城小6年山内玲奈さん(11)。平成の沖縄に生まれ「青く澄み渡る空しかしらない私」と沖縄戦の凄惨(せいさん)な記憶から遠く離れた若い世代が素直な気持ちを詩に載せた。

 「お金持ちになることや 有名になることが幸せではない 未来に夢を持つことこそが 最高の幸せだ」

 10歳で沖縄戦を体験し、昨年亡くなった祖父の平和への願いを伝えたいと、学校や家で朗読の練習を重ねてきた。

 作詩をきっかけに「戦争とは、平和とは」と自身に問いかけてきた11歳の少女の声に、会場からは温かい拍手が送られ、しわを寄せて目をつむる女性、汗を拭い壇上をみつめる白髪の男性らが聞き入った。朗読のはじめに強く降り出した雨も次第に音を潜めた。

 「令和時代 明日への希望を願う新しい時代が始まった この幸せをいつまでも」。朗読の終わりに祈るように読み上げた山内さんの澄んだ瞳に、平和を受け継ぐ次世代の決意がにじんでいた。

 沖縄戦を継承する意図を朗読後、改めて問われると「自分には何ができるか、考えて行動すること。友だちと戦争や平和についておしゃべりして、平和について考えていきたい」と緊張がほどけ、ほころんだ顔を見せた。【琉球新報電子版】