米軍医が残した写真 アメリカ統治下時代の沖縄が分かる写真展 米国の大学生も来場者と交流


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「写真を当時の沖縄を思いだすきっかけにしてほしい」と話すアラン・クリスティ学長(中央)と学生ら=3日、沖縄市諸見里

 【中部】米統治下の1952~53年に米軍医だったチャールズ・ユージン・ゲイルさんが県内各地を回り、当時の人々の生活や風景を写した写真の展示会が16日まで、浦添市や南風原町、うるま市で順次開催される。戦後間もない沖縄の生活風景を切り取った貴重な写真だ。写真を所蔵する米カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校の沖縄メモリーズ研究会の学生らも来沖し、来場者との交流を通して当時の様子や戦後沖縄の変遷を学ぶ。

 3日、沖縄市の諸見里公民館で展示会があり、本島中部で撮影された写真を中心に約30点が展示された。幼少期を諸見里地区で過ごした山内洋子さん(72)はモノクロ写真に広がる懐かしい風景を見詰め、大粒の涙をこぼした。「昔の記憶がよみがえり、胸がじーんと熱くなった。古き良き沖縄を思い出す素晴らしい写真展だった」としみじみと語った。

 ゲイルさんは読谷村の米陸軍トリイ・ステーションで米軍医として勤務し、滞在中に沖縄全島を回り約150枚の写真を残した。幼女と見つめ合いほほ笑むおばあちゃん、商店街の人混み、軍の払い下げの靴を履いて遊ぶ男児など、当時の暮らしの様子が鮮明に映し出されている。

 展示会は2013年から米統治下の写真に写る人々の足跡をたどる「ゲイルプロジェクト」の一環。主宰する同校カウエル・カレッジのアラン・クリスティ学長は、沖縄の特異な文化や歴史に米国の存在が大きく関わっていると指摘。「沖縄戦、米軍占領、今なお続く基地問題、米国の学生にこそ沖縄の歴史を本や資料だけでなく、地元の方々と触れ合うことで学んでほしい」と考えている。

 展示会は8~10日は浦添市役所で、11~13日は南風原文化センター、15~16日はうるま市の平安座自治会館で。
 (当銘千絵)

チャールズ・ユージン・ゲイル氏が撮影した1枚(The Gail Projectより)