あらぬ容疑かけ米軍が処分…嘉手納基地での窃盗事件 基地従業員12人が国を提訴 「処分理由は事実無根」


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 沖縄県の米軍嘉手納基地で働く日本人従業員11人と米軍キャンプ瑞慶覧で働く日本人従業員1人が出勤停止など不当な処分を受けたとして、雇用主の国を相手に処分の撤回などを求める訴訟を31日、那覇地裁に起こした。

 訴状によると、2017年10~11月、嘉手納基地で従業員が米軍人の住宅用新品エアコンを持ち出し売却した事案が発生した。原告らは関わっていなかったが、制裁解雇の通告を受けた。全駐労沖縄地区本部を交えた団体交渉により解雇措置は撤回されたが、後に同嫌疑で7日間の出勤停止処分が下された。訴状では「処分理由は事実無根」だと主張した。

 米軍キャンプ瑞慶覧で働く原告は、業務を放棄しようとした外国人副監督者の腕をつかんだことが暴力行為だと見なされ、職場の秩序を乱したとして3日間の出勤停止処分を受けた。訴状では「上司としての適正な業務執行行為であり、何ら職場の秩序を乱したものではない」と指摘した。

 訴訟を支援する全駐労の与那覇栄蔵委員長は「日米地位協定で米軍基地内の排他的管理権を認めていることが大きな問題だ。雇用主の国も米軍の調査をうのみにして、基地労働者を守ってくれない」と人権保護を訴えた。

 沖縄防衛局は本紙取材に「訴状が送達されていないため、当局としてコメントすることは差し控える」とした。