集会中も同型機が上空に「あの日と同じ光景」 事故風化に懸念も 米軍ヘリ沖国大墜落15年 


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沖縄国際大に米軍ヘリコプターが墜落した事故から15年となり、開かれた集会で声明を述べる前津栄健学長(右端)=13日午後、沖縄県宜野湾市

 【宜野湾】沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事故の記憶を風化させまいと13日、事故の象徴であるモニュメントを囲み開かれた平和集会。大学関係者を中心に多くが見守る中、登壇者らは“世界一危険な飛行場”の閉鎖を訴え、安全な生活の実現に向け決意を新たにした。一方で集会の前後や最中にも米軍機は容赦なく上空を飛び交い、爆音をとどろかせた。

 バラバラバラ―。事故発生とほぼ同時刻の午後2時21分、学生代表の平安山良斗さん(20)が平和への思いを語る中、CH53Eヘリコプターが上空を通過した。「15年前のあの日と全く同じ光景だ」「何も変わっていない」。空を見上げていた参加者からは、現状を憂う声も聞かれた。

 「基地の在り方や平和を考える特別な日でも、米軍にとっては人ごと。在沖米軍の異常さが際立つ事象だ」。英国出身で沖国大准教授のピーター・シンプソンさん(54)は、米軍機が日常的に住宅地上空を飛来し、旧盆や墜落事故の節目など大切な日にも自粛しない事態を目の当たりにし「全ては沖縄だから許されている差別だ」と憤った。

 大学にとって次世代への継承と事故の風化防止は喫緊の課題だ。今年の集会も参加者の大半を大学関係者が占め、学生の姿はほとんどなかった。同大元教授の漆谷克秀さん(71)は、事故に関する意識調査で、学生の7割がモニュメントを知らないと回答した結果に驚いた。漆谷さんは「無理して教えるのも難しいが、語り継いでいくしかない」と述べ、継続的な周知が継承の要だと指摘した。

 学生代表の経済学部4年の宮城あゆみさんは「学ぶ機会を設けることが、基地問題を考えるために必要」だと訴えた。