太平洋戦争当時、旧南洋群島で犠牲となった県出身者らを現地で慰霊するため、南洋群島帰還者会(上運天賢盛会長)の会員や家族らが25日午後、北マリアナ諸島のサイパン島に向けて出発した。地上戦があったサイパン島やテニアン島の戦争終結から今年で75年。「慰霊と交流の旅」は50回目を迎え、組織的な現地慰霊祭は終了する。出発を前に同日、那覇空港で結団式が開かれた。
慰霊の旅は帰還者の高齢化に伴い、参加者が年々減少傾向にあった。今回も体調面の不安から参加を見送った人もいる中、帰還者のほか、戦没者の子どもや孫など約150人が参加する。
団長に選ばれた上運天会長は「今回で会としては最後の旅となる。ただ慰霊祭はなくすわけでなく、それぞれで続けていく。暑さに気を付け、現地で慰霊しよう」とあいさつした。
パラオで終戦を迎えた宜野座朝美さん(79)は今回、参加を見送った。結団式に参加し「当時は多くの人が水を飲めず苦しんだ。いつも水を供えてきたが、それが最後にできなくて残念だ」と思いを託した。
5泊6日の日程で、サイパン島で27日、テニアン島で28日にそれぞれ現地慰霊祭を開催。今回玉城デニー知事や県議らも参加する。