市街化の線引きを再検討へ 那覇広域都市計画区域 協議会が初会合


社会
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協議の進め方を確認する那覇広域都市計画区域における区域区分検討協議会=23日、那覇市のサンパレス球陽館

 本島中南部の11市町村にまたがる那覇広域都市計画区域で、市街化を推進する区域と規制する区域の線引きについて望ましい在り方や方針を再検討しようと「那覇広域都市計画区域における区域区分検討協議会」が23日発足し、第1回委員会を那覇市のサンパレス球陽館で開いた。学識経験者や市町村長、県の担当者らが出席し、今後は幹部会や作業部会など下部会議を設けて具体的な議論を進める方針を確認した。

 那覇広域都市計画区域は1972年の日本復帰時に決定された。県は74年、市街化を進める「市街化区域」と、開発を規制する「市街化調整区域」に分けて指定した。無秩序な開発を防いで計画的に地域全体を発展させる目的だが、調整区域では柔軟に住宅や産業施設を造ることができない。市街化区域でも人口の集中で交通渋滞や地価の高騰が問題になっている。

 これまでも区画整理や米軍施設の返還などに伴い22回の区域見直しがあり、市街化区域は約2千ヘクタール増えている。だが人口や観光客の伸びに伴う開発需要の急増などから、市街化拡大を求める声が高まった。

 23日の委員会では、広い範囲で調整区域に指定されている市町村からは市街化区域の拡大を希望する声が上がった。特に東海岸側の町村からは東西格差の是正を求める意見もあった。

 新垣安弘八重瀬町長は、南城市が那覇広域から抜け単独の都市計画を進めていることを例に「期待通りに進まなかった場合、新たな都市計画作りに取り組んでいくだけの腹を持っていなければならない」と述べた。中城村と北中城村は那覇広域を抜けて中部広域都市計画に入ることを要望した。

 一方、市街化区域の拡大に慎重な見方も根強い。市街化区域の拡大により、既成市街地で人口が減ることで空き家や空き地が増える「空洞化」などが懸念されるためだ。

 委員会に出席した謝花喜一郎副知事は「忌憚(きたん)のない意見を伺いながら市町村と一体となって取り組んでいきたい」とあいさつした。委員長には琉球大の池田孝之名誉教授が就任した。今月30日に幹部会を開いて今後の検討内容を確認する。