米軍、日米合意守らず 「速やかに通報」が落下翌日に 識者「信頼関係がない」


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 米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリから窓が落下する事故を起こしていたことが29日、発覚した。日米両政府は、米軍機の落下物事故は県や関係自治体に迅速に通報すると合意している。今回の事故は27日に発生したにもかかわらず、県や関係自治体への連絡は2日後。専門家は「連絡がなければ対策も取れない。日米間で本当の信頼関係が築けていない証拠だ」と批判する。防衛省などによると、CH53Eが沖縄本島東の海上にプラスチック製の窓を落下させたのは27日午後5時半ごろ。米側から日本政府への通報は28日午後、沖縄防衛局からの県や宜野湾市などへの連絡は29日午後5時ごろだった。

 日米両政府は1997年、日米合同委員会で在日米軍による事件事故発生時の通報体制を確認。米軍機からの落下物事故は基地内外を問わず、速やかに通報することを定めている。

 米側の通報遅れは過去に何度もある。昨年2月、普天間所属MV22オスプレイのエンジンの空気吸入口が落下した際は通報がなく、沖縄防衛局が米側に問い合わせて落下を認めた。

 普天間所属のオスプレイは2015年3月にも、基地内での火災の消火活動中にアルミ製部品を落下させたが、沖縄防衛局に連絡があったのは発生4日後だった。

 沖縄国際大の前泊博盛教授(日米安保論)は「今回は大きな被害がなかったとしても、住宅密集地にある普天間では人がいる場所に落ちる可能性は十分にある。対米追従で日本政府が米国にものを言えない立場だと浮き彫りになった」と語る。防衛省から地元への連絡が米側の通報からさらに遅れたことに対しては「日本政府がことの重大さを認識しているか疑問だ」とした。