ヘリの窓落下地点、米軍把握せず 陸上に落ちた可能性も 沖縄県、通報遅れに抗議


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川村裕外務省沖縄担当大使(中央)と田中利則沖縄防衛局長(左)にCH53Eヘリからの部品落下について抗議文を手渡す謝花喜一郎副知事=30日、県庁

 米軍CH53E大型輸送ヘリコプターから機体の窓が落下した件で、在沖米海兵隊は30日、本紙の取材に「乗組員が最後に窓を確認したのは、海上を飛行していた時だった。(事故機が)普天間飛行場に戻った後、後方の窓が遺失していることが分かった」とし、明確な落下地点を把握していないことが明らかになった。同日、謝花喜一郎副知事は川村裕外務省沖縄担当大使と田中利則沖縄防衛局長を県庁に呼び出し事故と通報遅れに抗議した。

 海兵隊は日本政府に「本島東沖約8キロの海上」と説明し、防衛局は29日、県や市町村にその内容を伝達していた。しかし海兵隊は飛行場に戻った後に気付いていることから陸上に落ちた可能性もある。明確な落下地点について問うた本紙に対し海兵隊は「調査中で、提供できる追加の情報はない」と述べるにとどめた。

 県庁に川村大使と田中防衛局長を呼び出した謝花副知事は「米軍の再発防止策が極めて不十分なものだと言わざるを得ない」と指摘し、同型機の飛行を1週間止めた上で原因究明と詳細な説明、実効性のある再発防止策を講じるよう要請した。県への連絡が2日後だったことに「強い憤り」を示し、連絡体制の検証と改善も求めた。

 川村大使は「あってはならない事故で遺憾だ。安全確保は米軍駐留の大前提で、再発防止に万全を期すよう求めている」と述べた。田中防衛局長は「事案発生自体も遺憾だが、(日米で)合意されている形で情報提供がされなかったことは極めて遺憾だ」と話した。

 県は今後、在沖米海兵隊と在沖米総領事にも抗議する方向で調整している。