大地震想定せず 辺野古新基地 地盤改良 防衛省「安定性は確保」


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 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、防衛省が軟弱地盤の改良工事について今年1月にまとめた報告書で、耐震性に関する検討で大規模な地震を想定していなかったことが分かった。羽田空港など国内の主要空港では、大規模震災に備えた耐震化が進められている。防衛省は「安定性は確保できている」とするが、辺野古移設に反対する市民からは「検討をやり直すべきだ」との声が上がっている。

 報告書は防衛省の委託業者がまとめた。地盤を固めるために7万7千本の砂ぐいを打ち込む工法を用いることで、地盤改良は可能だと結論付けている。

 空港の耐震設計に関する国土交通省の基準は、耐用年数中に起こる可能性のある中規模程度の地震を「レベル1」、東日本大震災級の最大規模の揺れを「レベル2」と規定。防衛省の報告書はこの基準に沿い「レベル1」を採用し検討、揺れの強さを示す地震加速度(単位はガル)の最大値は約40ガルだった。2011年の東日本大震災は最大2993ガルを記録。1995年の阪神大震災は800ガルを超えた。「レベル1」を採用した理由について、防衛省の担当者は「必要な安全性、運用を確保できるよう検討している。緊急物資輸送の拠点となる場合などはレベル2である必要があるが、全ての空港がそうでなければいけないというわけではない」と説明。米側と調整して決めたとしている。

 辺野古海域では活断層の存在も指摘され、県は8月に提起した訴訟で「軍事飛行場下で地震が発生した場合、燃料のみならず弾薬などの危険物による被害も想定される」と指摘した。軟弱地盤の問題を追及している沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「国内の主要空港がレベル2に対応するものであれば、軍事施設も同様の耐震基準で対応するべきだ。検討をやり直す必要がある」と述べた。琉球大の加藤祐三名誉教授(防災地質学)は「辺野古に推定する断層と東日本にある大きな断層は規模が全く異なる。二つの断層を端的に結びつけることはできない」とした。