沖縄・日本文化に熱視 アルゼンチン100年祭契機に


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 移民100周年を迎えるアルゼンチンで、沖縄や日本の文化に注目が集まっている。ブエノスアイレスの沖縄県人連合会館で6月27日から始まった沖縄文化祭(同連合会主催)の着物ファッションショーや柔道、空手の演武に多くのアルゼンチン人が駆け付け、熱い視線を送っている。

県系2、3世を中心に運営しており、同連合会は「県系人のアイデンティティー形成にも役立つ」としている。
 移民船「笠戸丸」がサントス港に到着してから100年を迎え、ブラジルとアルゼンチンで8月に移民100周年記念祭が開かれる。沖縄文化祭はプレイベントとして行われている。
 文化祭では、県人会が主催するお茶や空手、柔道の各講座受講生が日ごろの修練の成果を披露。演武を見た地元アルゼンチン人が受講を申し込むなど好評を博しているほか、県人連合会理事会が運営する「沖連スシバー&レストラン」の沖縄料理に人気が集まっている。文化祭期間中は2階事務局前のホールで書道や三線、折り紙などの展示も。
 7月14日には県系2、3世らで構成する日本舞踊の「あんずの会」(米須アルバ会長)が着物ファッションショーを開いた。着物姿の会員がゆっくりと客席に近づくと、客らは写真に収めたり、拍手を送るなどして喜んだ。訪問着や浴衣など、場に応じて着物を選ぶことや着こなし方も変化することなどの説明を、熱心にメモする人もいた。ブエノスアイレスの大学生、ステファニア・ネゼビックさん(20)は「日本の精神が着物で伝わる気がした。いつか着てみたい」と魅了された様子だった。
 文化祭には多くの2、3世が参加。そろいの法被姿でパンフレット配布から会場案内まで熱心に協力。一方で県系人同士の会話はスペイン語が中心で、日本語やウチナーグチはほとんど使われておらず、一世からは「言葉も大切な文化。日常的に日本語や方言を使う環境があればもっといいのだが」との声も聞かれた。
 沖縄県人連合会の米須清文会長は「文化祭を通して母国や沖縄の文化への理解をさらに深め、アルゼンチンと沖縄の交流をより深めるきっかけにしたい」と話した。(松堂秀樹)