経済

エコ野菜工場実現へ 太陽熱とバイオマス活用

 琉球大学農学部の上野正実、川満芳信両教授らの研究グループが7日までに、太陽エネルギーやバイオマス(再生可能な有機資源)を活用した、沖縄型の野菜工場のモデル構築実現にめどを付けた。

野菜工場は、高度な環境制御を通した工場型の農作物生産施設。室温や湿度を管理できるほか、病害虫や台風被害から農作物を守ることも可能で、安定生産や増産が図れる。農薬を使う必要性がないことから、付加価値の高い野菜づくりも期待できる。グループは本年度中をめどに、一般導入が可能なレベルにまで研究を進める。
 研究では太陽熱集中パネルで集めた太陽エネルギーを熱交換器などで変換し、工場内の冷却・空調に利用する。家畜の排せつ物や汚泥などのバイオマスを電気エネルギーやバイオ燃料に変え、太陽光の代わりに植物に当てる電照や動力システムに利用する。
 研究は琉大の中期計画達成プロジェクトとして3年前に始めた。これまでの研究室レベルでの実験では、工場の運用に必要なエネルギー量の約半分をこの仕組みで賄うことができると試算。上野教授は今後の改善でこの割合を最大7―8割に増やせるとみている。
 野菜工場は安定生産や増産の新手法として注目されている。川満教授らによると、国内には約20の野菜工場があるが、管理に自然エネルギーを活用した事例は珍しい。
 沖縄農業の課題として夏の高温や台風、病害虫被害といった厳しい気候条件が挙げられる。夏の県内市場では葉野菜類はほとんどが県外産。観光客が沖縄の地場産野菜を楽しめない、輸送コストが大きいといった課題が指摘されている。
 一方、夏の太陽光が本土に比べ豊富なことから、上野教授は「一番必要な時に、エネルギーは一番多くある」と強調。生産環境を管理することができれば、安定生産・安定供給の実現につながると話した。
 また、同研究グループは、沖縄電力が中城村に建設を進めている吉の浦火力発電所が排出する液化天然ガスの冷却熱を利用すれば、工場運用に必要なほぼ100%のエネルギーを確保できると強調。現在、沖電側に共同事業を提案している。(島袋良太)


野菜工場の仕組みを説明する琉球大学農学部の川満芳信教授=7日、西原町の琉球大学農学部

野菜工場のモデル


琉球新報