基地見直し合意 3党連立政権樹立へ

 【東京】民主、社民、国民新3党は9日夕、国会内で党首会談を開いた。同日、社民が提案した「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地の在り方についても見直しの方向で臨む」との内容を明記することについて民主、国民新が受け入れ、民主の鳩山由紀夫代表が16日の特別国会で首相に選出された後、連立政権を樹立することで正式合意した。

普天間飛行場代替施設の辺野古移設見直しは、合意書に盛り込まれなかった。合意を受け、鳩山氏は社民の福島瑞穂党首、国民新の亀井静香代表に入閣を要請し、両氏の入閣が内定した。
 党首会談で福島氏は、沖縄の基地問題に関する社民党の考えとして(1)名護市辺野古への普天間代替施設建設を含め、在沖米軍基地の在り方を見直す(2)日米地位協定の改定は2008年3月、3党で合意した内容を踏まえる―との2点を挙げ、「今後、協議していきたい」と呼び掛けた。
 社民は9日午前、党幹部で構成する「政権協議チーム」の会合を開き、8日の「沖縄県民の心情も踏まえ、基地の在り方をはじめとする2国間の課題の解決を図る」と明記するとした民主の提案を協議。米軍再編の見直しや、日米地位協定の改定に関する記述がないことに批判が集中。それを加えた上で、民主の考え方にも譲歩し、普天間飛行場辺野古移設の見直しは合意書に盛り込まず新たな提案を確認した。
 9日午後の3党幹事長会談で民主、国民新とも、社民の新たな提案を政策合意書に盛り込むことを承諾した。
 党首会談後の記者会見で、民主の岡田克也幹事長は、社民の新たな提案を受け入れた理由について「(民主党の)マニフェスト(政策インデックス)でうたっている内容だ」と述べ、対米関係にも支障を来さない表現との考えを示した。
 同日の幹事長会談では、与党の連絡調整に関して党首級の「基本政策閣僚委員会」を閣内に設け、政策調整し結果を閣議に諮る意思決定システムとすることで一致。予算編成の基本方針などを策定する「国家戦略局」は民主党だけの構成で始め、社民、国民新両党も参加するかは今後検討することになった。
 鳩山氏は記者会見し「国民生活を正しい方向に導く連立政権をつくる」と表明した。福島氏は「今度の内閣は生活再建内閣だ」と強調。亀井氏は「鳩山代表の下で歴史的な責任を果たしていく」と述べた。
 3党は政策合意で「家計に対する支援を最重点と位置付け、可処分所得を増やし消費拡大につなげる」と宣言、政権担当期間中は消費税率5%を維持する方針を明記。
 日本郵政など民営化会社の株式売却凍結法案、郵政民営化見直し基本法案については、国民新党の要求を受け「速やかに成立を図る」と明記した。
 閣僚人事では、財務相に藤井裕久最高顧問を軸に検討。長妻昭政調会長代理、前原誠司副代表、野田佳彦幹事長代理の入閣も有力だ。

<解説>普天間「県外」先送り 連立優先し“妥協”
 民主、社民、国民新の3党連立協議は、社民が求めた在沖米軍基地を見直す内容を盛り込むかどうかで、調整が難航したが、最終的には「見直しの方向で臨む」との表現で決着した。当初は、名護市辺野古への新基地建設見直しの連立合意書への明記を求めていた社民党がハードルを下げた。オバマ米政権との関係づくりへの配慮をかたくなに主張した民主の意向が勝り、早期の連立合意を優先した「妥協の文言」との指摘は否めない。普天間飛行場の移設先についての決着は、先送りされた格好だ。
 社民党幹部の照屋寛徳衆院議員は、名護市辺野古の新基地建設見直しの明記を主張し続けた。ただ、全体的な協議としては沖縄の要望に理解は示しつつも「連立ありき」の雰囲気は漂っていた。照屋氏は8日の協議で「沖縄の議員の腹積もりはできている」と発言。明記しないまま連立合意に踏み切れば、沖縄選出・出身議員や県連議員の「離党」も辞さない覚悟をにおわせた。党存続にもかかわる発言に、譲れない要望との認識が党内で広がった。
 だが「辺野古」や「普天間」の明記には、在日米軍再編の日米合意にも配慮した民主の抵抗は強く、最終的には「連立」するための妥協を迫られた格好だ。
 合意内容は、各党の立場によって、どのようにも解釈可能な表現だ。3党協議に携わったある議員は「各党にとって都合のいいように解釈できる“魔法の合意文”だ」とし、「玉虫色」の内容だと認める。
 社民党にとっては「満点」ではないが「沖縄県民の負担軽減」との表現に「普天間飛行場や辺野古への新基地建設」の見直しを求めた意向も込められた。民主党にとっては、特定の基地名を示していないことから「現行の再編合意案をすべて白紙に戻す意味ではない」と米側に釈明する余地も残ったと言える。
 今後は普天間飛行場の移設先が焦点になるが「合意には県内、県外、国外とは規定されていない」(協議関係者)。「負担軽減」の定義が一致しない中で、移設先の決着は今後も予断を許さない。
(宮城久緒、仲井間郁江)