政治

普天間飛行場移設先「県外」が最高点 米軍、96年に比較

 在日米軍作戦部(J3)が日米特別行動委員会(SACO)協議中の1996年7月、米軍普天間飛行場の嘉手納基地統合の調査研究の一環で、県外の自衛隊基地や米軍キャンプ・シュワブへの移設を含む4案を検討、航空機運用の観点から滑走路の長さや、駐機場の確保の優位性で県外基地を最高点と結論づけていたことが、琉球新報が入手した米軍による嘉手納統合案の技術評価書で31日までに分かった。

 シュワブ移設案は次点で、伊江島補助飛行場と続き、嘉手納弾薬庫地区が最低点だった。ヘリコプターなどの航空機を運用する立場からは、県内移設にこだわらない姿勢が明らかになった。
 評価書は最初に、嘉手納基地統合の可能性を検討。安全性や運用の問題点から嘉手納基地に統合すべきではないと結論づけた。
 その上で、嘉手納統合に替わる選択肢として(1)嘉手納弾薬庫地区内への滑走路・施設新設(2)キャンプ・シュワブへの新たな軍民共用空港(3)普天間飛行場機能の伊江島移転(4)有事の際の県外自衛隊基地への海兵隊ヘリの移駐―の4案を検討した。
 評価基準は(1)約1600メートルの滑走路(2)28万平方メートルの駐機場など(3)格納庫や整備施設(4)事故や火災などの救難装備(5)民間機やほかの軍用機からの安全性確保―の5項目で評価した。
 県外自衛隊基地は、すべての項目で条件を満たして最高位。ただ、現在は自衛隊基地で有事での共同使用は合意されていないとして実現の可能性に言及していない。
 次点のシュワブは、滑走路の長さの項目で、戦闘機などが使用できないとして減点された。
 伊江島も滑走路が戦闘機に対応できず減点、駐機場と格納庫スペースの項目で不合格だった。
 嘉手納弾薬庫地区への移設は、滑走路の長さ以外は条件を満たさなかった。
(滝本匠)

◆夜間飛行55%増、総飛行数も35%
 琉球新報が入手した米軍による嘉手納統合案の技術評価書では、米軍普天間飛行場の嘉手納基地統合で、夜間飛行回数について1カ月当たり5割強の増加を見込んでいることが明らかになった。
 在日米軍作戦部(J3)が日米特別行動委員会(SACO)の1996年7月当時、午後6時~翌午前6時までの夜間飛行回数が1カ月に818回から1269回へと55・1%増となると試算。日中分も合わせると総飛行回数は8784回で35・8%増となる。在日米軍は分析結果から、有事運用に問題が生じ、種類の異なる航空機の運用は危険だなどと、嘉手納移転はすべきではないと勧告している。
 評価書は、在日米軍の陸海空、海兵隊の四軍種から、各種戦闘攻撃・輸送のヘリや、戦闘機など固定翼機のベテラン操縦士と技術専門家ら10人(中佐、少佐クラス)でつくるチームが分析した。政府高官の政策決定のためにまとめた。
 自衛隊との共同研究結果も紹介し、那覇空港離着陸の民間機と米軍機との衝突の危険性が増加することも指摘。
 分析の中で通常、駐留する機体数について、嘉手納で108~113機、普天間はKC130の12機を含む71機と説明。有事には、嘉手納は160機、普天間は230機となり、最大で390機が駐留するとしている。
 統合案は、基地の北方部分と、ゴルフ場に近い南西部分の2案を検討。北方案は既に海軍駐機場の移転が決まっており、海兵隊の求める機能も満たさないとした。南西案は面積を確保できるが、騒音面や環境面、政治面から問題が生じると指摘した。
 報告書は、在日海兵隊としては移転可能だとの見解を紹介。一方で、受け入れ側の嘉手納の第18航空団が、有事任務の遂行が不可能になり同意できないとの立場を示し、海兵隊と空軍の温度差も露呈している。
 駐機場整備の検討では、嘉手納基地内での配置を検証し、SACO当時から将来的な配備計画があった海兵隊次期主力輸送機のMV22オスプレイの駐機位置も明示している。(滝本匠)



琉球新報