社会

中北部で医師5人減 小児救急崩壊危機 業務増、絶対数は不足

 小児科勤務医が5人減ることで、本島中北部の小児救急が「崩壊」の危機にひんしている。関係者は背景に医療が高度化したことで医師の業務は増加したにもかかわらず、小児科医の絶対数が不足していることを挙げる。また、本来緊急度の高い患者を受け入れる救急に「昼間には病院に行けない」などの理由で、緊急度の低い患者が多く押し寄せていることも影響している。

 「くたくたで正しい判断ができず、間違えるかもしれないという不安をいつも抱えている」「1人でも倒れたら崩壊する」。勤務医の減少で、危機にひんする本島中北部の小児科勤務医から悲痛な叫びが相次いだ。
 勤務医の仕事は日中の外来診療だけではない。入院中の患者の管理や夜間の救急対応に加え、研修医への教育や院外での地域保健活動などもある。当直の日は通常勤務からそのまま当直に入り、入院患者の対応、救急の対応をする。当直明けもそのまま通常勤務に入るのがほとんど。県内の多くの病院で当直明けの医師は連続30時間近くの勤務をしているのが実情だ。
 医師の減少により北部、中部、中頭の3病院では医師らは月8回の当直をしなければならない。
 沖縄労働局は「連続勤務自体が違法ではないが、当直が月7、8回になると残業時間が100時間を超えるだろう。その場合、健康を脅かす可能性があり、医師による面談の対象となる」と指摘する。
 「そのまま倒れ込みたい状態」。小児科医の1人は当直明けの状態をこう表現する。別の小児科医は「薬の量や種類の記入間違いなど『ひやり・はっと』が頻発するのは当直明け」と明かす。
 最重症患者を治療する中部病院が4月以降に4人体制となることに、院内外から過重労働を不安視する声が上がった。同院の小濱守安医師(55)は「1年間何とか持たせても、疲労から心身ともにぼろぼろになっている可能性がある」とこぼす。
 中部病院は、小児救急の受け付けを午後11時までとしている中頭病院に救急診療時間の延長などを求めているが、中頭の宮里善次院長(60)は「現状でも当院は中部病院よりも多数の時間外患者を診ており、今以上に仕事や精神的負担が増えると、中頭病院の小児科そのものが崩壊する。苦しい決断かもしれないが、県内の小児科医を守るためにも中部病院は救急の制限が必要ではないか」と話した。