芸能・文化

『マンガは越境する!』 欧米、アジアの事情も網羅

『マンガは越境する!』大城房美・一木順・本浜秀彦編 世界思想社 2310円

 数年前に「ル・オタク フランスおたく物語」(清谷信一著、講談社文庫)や「オタク イン USA 愛と誤解のAnime輸入史」(パトリック・マシアス&町山智浩著、太田出版)を読んで、欧米のマンガ事情については知識として知っていたつもりだった。
 それが今回書評を依頼された論文集「マンガは越境する!」の第1章によって、さらに立体的に知ることができ、あらためて勉強になった次第である。

 しかも欧米だけでなく、アジアのマンガ事情も知ることができて、読書スタート時に感じたとっつきにくさを忘れて、だんだん興味深く読み進んでいった。多くの具体的な事例が紹介されていて、まさにタイトル通り「マンガは越境する」。今後マンガは国境を越えて、どのような展開を見せていくのか楽しみになる1冊である。
 ちょうど、この原稿を書いているとき、ポッドキャストで吉本所属のお笑いコンビ・デスペラードの片割れのイラン人芸人・エマミ・シュン・サラミ氏の「イランのTV事情」を聴いて爆笑していたので、イスラム圏内のマンガ事情はどういうふうになっているんだろうと想像をめぐらせた。もし、この本のパート2が出るとしたら、ぜひ取り上げてほしい。
 第2章では、マンガが国内のいろんな地域に伝播(でんぱ)していく過程が、複数の事例を紹介しながら描かれていく。この章を読んで編集者側から書かれた「コミックおきなわ」の興味深い歴史&秘話を知ることができたのは、当時毎月3冊購入していたくらいハマっていた人間としては、感動ものだった(そのころ集めた「コミックおきなわ」も、引っ越しのどさくさで、ほとんどが行方不明になってしまった。残念だ)。そして、2010年時点までの県内のマンガ&マンガ家事情を記した資料としても大変価値があると思う。
 最後に。この本を読んで、私は上條淳士著「SEX」(小学館)を必ず入手して、じっくり読もうと心に誓ったのであった。
(わうけいさお・「なんだこりゃ~沖縄」著者&沖縄サブカル研究家)