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鉄道、総事業費8600億円 導入可能性、県が報告書

 県は29日までに、沖縄本島を縦貫する鉄道導入の可能性を探る調査報告書をまとめた。報告書では糸満~名護区間(約81キロメートル)を整備した場合、総事業費8600億円、1キロ当たりの建設コストは105億円になると試算。費用に対する収益や利用者の移動費節減、渋滞緩和など、運用開始から50年間の費用対効果(費用便益比)は0・63で、事業化の目安となる基準値1・0を下回った。

 1日当たりの利用者数は約17万5千人と試算。そのうち、8割近く(約13万5千人)を那覇空港~沖縄市区間(約25キロ)の利用者が占める。同区間は需要が見込めることから、事業費4千億円、1キロ当たりコスト154億円に対して、費用対効果は1・25と事業化の可能性が高いことが示された。
 沖縄~名護区間(約46キロ)、糸満~那覇空港区間(約10キロ)の2区間は、それぞれ事業費3600億円、1千億円に対して、1日当たりの利用者数は2万人程度と低く、費用対効果は0・1にとどまった。
 報告書では、いずれの区間も整備費が膨大で運行会社の負担が大きいことから「事業化が厳しい」とした。導入実現のためには「沖縄鉄道整備法」(仮称)などによる高率補助制度の創設が必要だと指摘した。
 仲井真弘多知事は29日、県議会6月定例会一般質問で「沖縄に公共交通がない点から(国に導入を)主張すべきだが、(予算規模から)保守的にならざる得ない」と述べ、国の本格調査をみて慎重に検討するとした。
 同調査は県企画部が2009年度に実施。鉄道ルートは普天間飛行場の跡地利用を前提に、人口密度の高い地域の経由を仮設定。鉄道事業法により、鉄道線路は道路に敷設できないことから、都市部を中心に三十数キロを地下構造としている。


鉄道調査ルート

各ルート採算イメージ