政治

基地収入は経済力向上阻害 京都府立大・川瀬教授が講演

「基地維持財政政策の変質をどうみるか」との演題で講演する京都府立大学公共政策学部の川瀬光義教授=18日夕、沖縄国際大学

 沖縄国際大学の沖縄経済環境研究所が主催する講演会が18日夕、同大学であり、京都府立大学公共政策学部の川瀬光義教授が「基地維持財政政策の変質をどうみるか」との演題で講演した。川瀬氏は基地関係の収入に関し、「財政学の大原則からすると極めて逸脱した財源だ」と強調。「新しい基地を造ることを断っても米軍再編交付金などバブルのような金がなくなるだけで、伝統的な基地のための収入は無くならない。バブルに頼らない地域づくりをした方がいい」と話した。

 財政学の基本では、まず(資金が)どれだけ必要か主権者の同意を得て決めて、その上でどれだけ税金を集めて賄うのかを考えるのが第1の原則だ。第2の原則は租税収入を中心に充実させること。税収を増やす努力をすればするほど、財政力は強くなる。
 このような財政学の基本原則からすると、基地関係の収入はどれも、極めて逸脱した財源と言える。基地収入はどれだけ必要か決める前に、先に金額が入る。なぜ、その額なのか、まったく根拠不明の金をばらまいているのは、わいろではないか、と思わざるを得ない。
 さらに基地関係収入で地域の経済力が上がったとしても、自己決定権を行使した成果では決してない。基地関係収入は量的にも質的にも多過ぎる。県内自治体の自治力、経済力向上を阻害しているとも言える。
 そこで基地関係の収入について考える。全国の基地があるところに入ってくるのが基地交付金で、「国有提供施設等所在市町村助成交付金」と「施設等所在市町村助成交付金」がある。米軍が使っている国有地や自衛隊施設の固定資産税が非課税であることを考慮して関係自治体に支出するもので、まず総額ありきだ。その総額を自治体にある米軍施設の評価額に応じて配分する。調べたところによると、理由は分からないが、全国で3年ごとに10億円ずつ増えている。
 次に軍用地料がある。形式的には全国が対象だが、日本の米軍基地の大半はもともと日本軍が使っていた国有地だけ。事実上、沖縄固有の財産だ。通常の土地の値段は一貫して下がっているのに、軍用地料は(現時点で)1回も減ったことはない。経済状況とは無関係に増えるというのは、明らかに政治的な思惑で毎年(額が)上がっているとしか思えない。
 米軍再編交付金も同様だ。防衛相が対象自治体を裁量で決めている、再編の円滑な実施に資するかどうかが判断の基準になる。施設を拒否すれば、交付金は与えられない。拒否という選択権を与えない、という点で、民主主義の原則に反する非常に不合理な面を持っている。
 稲嶺進名護市長は普天間移設前提の再編交付金について、継続案件は別にして、新年度予算には計上しなかった。新しい基地を断っても再編交付金などバブルのような金が無くなるだけで、基地交付金、軍用地料など伝統的な基地のための収入は無くならない。基地やバブルがなくなっても自治体財政は成り立つ。むしろバブルに頼らない地域づくりで財政収入を増やす努力をした方がいい。
 知事が基地移設に反対するなど、国と対決すると国から金が出ない、県政不況になるという論調がある。だが、それは明らかな間違いだ。たとえ国に反発しても、国から通常出るべき金が出なくなるということはない。バブルのような金が無くなるだけだ。