政治

面目優先、地元配慮なし 辺野古飛行経路

<解説>
 8月末の普天間飛行場移設の報告書発表に向け、専門家協議が大詰めを迎える中、飛行経路をめぐる日米両政府の意見が衝突した。地元反発を恐れ、実際の米軍運用とは異なる説明をする日本政府。後に批判の矛先が軍に向くことを恐れ、実態を正直に地元に説明するよう迫る米政府。いずれの主張も、地元からの反発を避けたいとの面目にこだわったもので、静かな生活環境の維持を求める地元住民への配慮が欠落している。米側は軍の運用を制限するつもりはなく、騒音を受ける対象地域は従来説明から拡大し、住民生活に影響を及ぼすことは必至だ。

 日本政府は2006年の日米合意以降、米軍機の有視界飛行は名護市の集落には近づかず、騒音の影響は少ないと、沖縄側に図を示して説明してきた。これを米側は「われわれに照会せず、日本政府が勝手にやったこと」と批判し、「報告書で日本国民にきちんと説明すべきだ」(米政府関係者)と主張している。
 一方で日本側は、これまでの説明を覆して騒音増加を公にすれば、地元から集中砲火を浴びるため、「説明は変えられない。軍が説明通りに飛ぶべきだ」と反論している。
 滑走路の形状についても、「I字なら埋め立て面積が少なくなり、環境への影響も軽減する」とする日本側と、「V字なら集落上空の飛行を避け、安全性が高まる。危険性の除去が普天間移設の原点だったはずだ」とする米側とで対立し、8月末以降も議論は平行線をたどる様相だ。
 沖縄の反対を押し切り日米で合意した辺野古移設だが、詳細を詰める段階で、次々と日米間の相違点が発覚し、計画のずさんさと非現実性が浮き彫りとなってきている。
 (米ワシントン23日=与那嶺路代本紙特派員)