「普天間」再論議 表舞台へ 米上院軍事委員長の来県

 在沖米海兵隊のグアム移転を審議する米上院軍事委員会のレビン委員長が今月下旬に来県する。グアム移転と「パッケージ」とされる普天間飛行場移設に関心が高く、同氏は委員会でたびたび仲井真弘多知事の動向に言及してきた。沖縄で得た情報を今後の審議に反映する見込みだ。一方、沖縄側にとっても日米合意に影響力を持つ人物に直接意見を伝える好機となる。合意の実行可能性が表舞台で再論議されるきっかけになりそうだ。

 「普天間移設とグアム移転問題で日米合意は泥沼にはまっている。かつては実行可能な計画だったかもしれないが、その後の政治的、外交的、財政的現実で滞っている」。12日の公聴会の冒頭、レビン氏は計画通りに進まない米軍再編に不満を見せ、今後集中的に議論する意思を表明した。

「目に見える進展」
 公聴会にはウィラード米太平洋軍司令官が参考人に呼ばれた。レビン氏は矢継ぎ早に問いただした。
 「普天間移設に目に見える進展はあるか」
 司令官「次の2プラス2(日米閣僚級会議)までに知事が埋め立て許可にサインし、滑走路の形状が決まれば、目に見える進展と言える」
 「サインされたのか」
 司令官「まだだ」
 「『目に見える進展』とは知事のサインを指すのではないか」
 司令官「サインに向けて進めている」
 しつこい追及に司令官は苦しい答弁を強いられた。米議会は1月、グアム移転費を政府原案から7割削減して可決したばかり。政府がグアムや沖縄の反発を考慮せず、現実的な見通しを示さないことを懸念したからだ。にもかかわらずこの日の政府答弁も要領を得ず、委員会をいら立たせた。

両国に新たな難題
 委員会の不安要素は地元事情だけではない。
 オバマ大統領は13日、巨額の財政赤字削減策の一環として2023年までに国防費4千億ドル(約33兆5千億円)を減らす方針を表明した。かつてない改革に挑む米国に、追加予算は不可能だ。
 だがグアム移転費はインフラ整備の必要性などから、当初予定の約103億ドルを大幅に超える。超過分は日本に求めるもくろみだったが、その日本も東日本大震災で大打撃を負った。復興財源のめども立たない状況下で、さらなる移転費を求めることはできない。
 有力議員の一人は公聴会で疑問を投げた。「二つの島に新基地を造るには、両国から最低30億ドルの投資が必要だ。日本の災害、米国の厳しい財政を考えると、果たして計画に費やす資金はあるのだろうか」
 新たな課題に直面した両国に、日米合意の工程表の練り直しはもはや避けられない。レビン氏は自ら沖縄に乗り込み打開の手掛かりを見つけたい考えだ。米国内では知事が過去に辺野古移設を容認した経緯から、県外移設を求める今の主張を懐疑的に見る人もいる。
 今回のレビン氏来県は、沖縄側にとっても米側に真の県民意思を伝える貴重な機会となる。日米合意をめぐる議論が土台から再構築される可能性が出ている。(与那嶺路代)